【正月に餅搗かず盆に鯖くわず】
(しょうがつにもちつかず ぼんにさばくわず)
正月の餅、盆の鯖は誰でも食べるごちそうであるのに、それを食べることも
出来ないほど貧しいことの例え。
正月の餅はいいとして、盆の鯖とはと思う方もいらっしゃると思いますが、
盆に鯖を食べるという風習が昔は各地にありました(殊に西日本で)のでそ
れを指したものです。
現在もまた正月に餅を食べない人、盆に鯖を食べない人というのは沢山居る
でしょうが、その多くは「個人の好み」の問題であることが多いのですが、
昔はずっと年中行事を大切にしていたので、普段の食事に事欠くようであっ
ても正月の餅は欠かさないということがしばしば言われた程ですから、その
正月の餅すらも欠かすと言うことは、大変な貧しさということです。
この諺とは逆に、地域によっては「正月に餅を食べない・搗かない」という
こともあるそうで、民俗学的には「餅なし正月」として知られた事実だそう
です。この多くは、戦や戦の敗戦などの結果上の諺の通り正月の餅すらも食
べられなかった先祖の苦労を忘れないためと言うものが多いとのこと。
我々が好き嫌いで餅や鯖を食べる・食べないなどという話と並べて語れるも
のでは無いのです。
オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/01/15 号
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