【葦牙】(あしかび)
葦の若芽。春の季語。
古事記上「葦牙のごと萌えあがる物」
《広辞苑・第六版》
葦の若芽。
春になると水辺の葦が芽吹き、水面にその尖った新芽が点々と顔を出します。
水面から出たその尖った新芽を牙や角、錐に見立てて葦の牙、葦の角、葦の
錐などともいいます。
私は子供の頃、川のすぐ近くに住んでいました。
家から歩いて数分の川の川原には葦の原が広がっていて、一年を通して私の
いい遊び場になっていました。
春になり、冬の間は雪に隠れていた川原の黒い土が姿を現す頃になると、氷
の消えた川の水面に葦の牙がその姿を現しました。
水温む頃とはいいながら、手を差し入れれば切れるほど冷たい川の水を葦の
牙が切り裂いている。
葦牙のある風景は私にとって、懐かしい春の眺めです。
オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/02/15 号
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