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 【有名無実】 (ゆうめい むじつ)
 名ばかりで、実質の伴わないこと。評判と実際と違っていること。『広辞苑』

 よく使われる言葉ですが、使われる場合はよい意味で使われることは希です。

 どう考えても立派な戦力である自衛隊という組織をもっていながら
  《陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない》
 としている国の憲法であるとか、甲子園に出場するために特待生を集める学
 校があることなど常識化して久しい中、「調査結果に驚いている」なんてコ
 メントする高校野球連盟とその高校野球憲章などを指す言葉として使われま
 す。

 「名有って、実無し」

 現在の用法からするとこの言葉の「実」は、実質、実態といった意味に解さ
 れているようです。ところがこの言葉の出所を探るとこの言葉の元の意味は
 どうも少し違うようです。

 この語の出典は『国語』の晋語と考えられます。その箇所には、晋の国の卿
 (大臣)韓宣子が、

  「私は卿の名有れども其の実(=財産)無く、諸君と付き合うことが出
   来ないことが残念だ」

 と使われています。またこの語の後には韓宣子の友人の叔向(名大夫として
 知られた人物)が、先代の卿も自分の蓄財など考えず職務に精励したために
 貧乏であったが、国の内外から賞賛され、子孫は今もその余徳に与っている
 ことをあげて、慰めています。

 つまり、「高い地位にあるが財産は無い」というのが有名無実の元の意味で
 有ったわけです。そのうち「財産」がその人自身の徳性と見なされるように
 なって、「高い地位にありながら徳が伴わない」と解釈されるようになって
 現在の使い方になったようです。

 現在の意味での用法は既にその例を挙げましたが、本来の意味については、
 現在の「お金と政治」について考える材料として面白いですね。


オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/05/03 号

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