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【啓発】(けいはつ)
 知識をひらきおこし理解を深めること。《広辞苑》

 「○○先生の話に啓発された」
 何て言う使い方をする、あの啓発です。

 これは、論語・述而編から出た言葉です。

  「憤せずんば啓せず。非(ひ)せずんば発せず。
   一隅を挙げて三隅を以って反(かえ)らざれば、
   則ち復(また)せざるなり」

 「非」の字は立心偏を着けたいのですがフォントが無いので「非」としまし
 た。もっとも意味は「非」と同じだそうですが。
 政治家としての孔子の手腕に関しては、疑問の残る部分も有りますが、沢山
 の弟子を育てた教育者としての手腕は高く評価出来るところです。
 その孔子の教育に対する姿勢がこの「啓発」という言葉にこもっています。

 問題に悩み、頭をかきむしらんばかり出なければその心を啓いてあげない。
 答えが出かかっていながら、言い表す言葉が見つからず口ごもっている様子
 でなければ、その言葉を教えてはあげない。
 四角のものの一隅を持ち上げてこれを示せば、すぐさま他の三隅を持ち上げ
 て自分で調べる程の反応が無ければ、もう教えることはしない。

 そんな意味です。ちょっと突き放した感が有りますが、「学ぶ」のはその本
 人ですから、何から何まで与えたとしても「学べる」ものではないと言うこ
 とですね。
 趣味で行っているとある競技で高校生と対戦すると、試合後必ず

  「反省点をお願いします」

 と頭を下げてきます。多分運動部で先輩や先生にそう躾られているためでし
 ょう。こう言われると試合中に気が付いた注意点など指摘してあげるのです
 が、最近ではこのことにちょっと疑問を持っています。

 みんな真面目で佳い子たちであるのは判るのですが、いつもいつも「反省点
 をお願いします」と異口同音に言い、今だ「こんな時にはどうすればいいの
 でしょうか」と自分から疑問点を言い出したことがありません。

 試合の時どこが悪くて負けたのだろう、どうしてこのコースに打たれると捕
 れないのだろう、試合や練習でそうした自分の欠点をどう直すか、また自分
 の長所をより伸ばすにはどんなことをすればよいのか。考えて試してまた悩
 んでということを経ずに、

  「これこれはこうした方が良い」

 とアドバイスだけ受けて果たして役に立つのかなと思うのです。
 答えは人から与えてもらえても、問題は自分で気が付かないと。全てに気づ
 くのは無理でも、問題に対する意識は持ち続ける必要が有ると思います。

 さんざん悩んだ後なら、ほんのちょっとしたコツを教えてもらうだけで疑問
 が氷解することがあります。何も考えず人から「問題と解答」が与えられる
 のを待っているだけではたしてよいのか。
 そんなことを思うとき、

  「憤せずんば啓せず。非せずんば発せず」

 という言葉が脳裏に浮かびます。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/06/21 号

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