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【綸言汗の如し】(りんげんあせのごとし)
 綸言は君主の言葉。
 汗は一度出ると二度と体内に戻せないように、君主が一度口にした言葉は訂
 正したり、取り消したりすることは出来ないということ。
 出典は『漢書 劉向伝』。《成語林》

 昨日は、防衛大臣の辞任のニュースが駆けめぐっておりました。
 ことの発端となったのは、原爆投下に関しての「しょうがない」発言。

 人間の力の及ばない事柄に対して一種の諦観として「しょうがない」という
 言葉を使う場合は有るだろうと思いますので、それを言ったからと言って一
 個人としては非常識な発言だとは思いませんが、廟堂に列する立場にある大
 臣が言ってしまったとすれば、今回の結果はやむを得ないことだと思います。

 「綸言汗の如し」の出典になっている話は、まだ子どもであった皇帝がその
 弟との遊び(ままごと遊びのようなもの?)の中で、

   「お前を○○国の王に任命する」

 と言ったところ、すぐに書記官がその言葉を書き留め、実際に皇弟に王の印
 綬を授与する準備を始めたという故事です。
 もちろん、言い出した皇帝は、遊びの中での冗談の発言でしたので、慌てて
 これを取り消そうとしたところ、

  「皇帝の言葉は汗のようなもので、一度口にしてしまった以上
   これを戻すことは出来ません」

 といわれ、そのまま皇弟に王の印綬が与えられてしまいました。
 今回は、大臣の発言であって君主の話ではありませんが、影響は同じ。個人
 の言葉としては理解出来るとしても、大臣という地位にある人物が発言して
 は、取り返しがつきません。

 こうした地位に就くことを承諾した以上は、自由な発言が出来ないと思い定
 めないといけないのでしょう。また、そう思い定められない人物を大臣に任
 命してしまってもいけないのでしょう。
 なんだか「しょうがない」話ですね。


オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/07/04 号

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