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【寒蝉】(かんぜみ)
 秋の末に鳴く蝉。ツクツクボウシまたはヒグラシの古称か。かんせん。
  《広辞苑》


 七十二候の立秋の次候に「蜩(ひぐらし)鳴く」というのがあります。
 何度か書いていますがこれは、明治時代の略本暦に記載された本朝七十二候
 と呼ばれるものです。
 七十二候が中国から日本に伝来した当時のものは、

  「寒蝉鳴」

 とあります。普通はこれで「かんせんなく」と読みます。
 時期は立秋の末候となっていますので、「蜩鳴く」とはちょっとだけずれて
 いますが、どう見ても「蜩鳴く」の元になった言葉であることは間違い無さ
 そうです。

 立秋の次候または末候と言うことですから、この寒蝉は秋の訪れを告げる蝉。
 それで「秋つげぜみ」とも読まれることがあります。
 この秋つげぜみは何かと言えば、素直に読むと「ひぐらし」と言うことにな
 ります。
 ですがここで問題が。それは、ヒグラシの鳴く時期です。

 「カナカナカナ」と鳴くヒグラシですが、このヒグラシの鳴き始める時期は
 六月中旬頃から、七月初旬頃と秋にはまだ早すぎる(夏の初めと言ってもい
 いくらい)こと。そのため広辞苑でも

  「ツクツクボウシまたはヒグラシの古称か。」

 と書かれるようになったのでしょうか?
 ではツクツクボウシの声はいつ頃から聞こえてくるかと言うと、八月の中旬
 頃から。時期からすると、七十二候の「寒蝉鳴」あるいは「蜩鳴く」にピッ
 タリの蝉と言えそうです。

 このためか、広辞苑も「寒蝉=ツクツクボウシ(法師蝉)説」をとって「ヒ
 グラシの古称か」と古くからの読みをフォローしているようです。
 七十二候は、二十四節気と違って日本と中国の季節の違い、動植物の違いか
 ら何度か修正されて現在に至っていますから、この寒蝉も日本の風土に合わ
 せて法師蝉と考えるのが妥当なようですね。

 自分にとってと言えば、法師蝉が鳴く頃になるとまだ沢山残っている夏休み
 の宿題をかたづけないとと焦り始める時期でした。そのためか、夏休みの宿
 題など無いはずの今でも、この蝉の声を聞くとなんだか「焦り」を感じてし
 まいます。
 さて、皆さんにとっての「秋つげぜみ」、「寒蝉」は一体どんな蝉ですか?

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/08/20 号

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