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【東風】(こち)
 (「ち」は風の意)春に東方から吹いて来る風。
 ひがしかぜ。春風。こちかぜ。春の季語。
 拾遺和歌集雑春「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花」
  《広辞苑第五版》

 東風は春を運ぶ風として和歌などに盛んに用いられた雅語です。
 春は東風に乗って訪れると考えられていたのです。
 用例にあった「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花」は、太宰府への配流が決ま
 った時、菅原道真が自宅の梅を眺めて詠んだ歌で、最後まで書けば

  「東風吹かばにほひをこせよ梅花主なしとて春を忘るな」

 となります。
 ちなみにこの歌に詠まれた梅の木は、道真を追って太宰府まで飛び、道真を
 慰めたという飛梅伝説があります(この飛梅は、筑紫安楽寺、現太宰府天満
 宮の庭にある梅の木だとされます)。

 東風を「こち」と呼ぶその語源は瀬戸内海の漁師言葉だとする説があります。
 瀬戸内には、「鰆(さわら)ごち」「雲雀(へばる)ごち」「梅ごち」「桜
 ごち」「こち時化(しけ)」といった「コチ」を含む言葉があるそうです。
 もっとも東風時化の言葉があるように、漁師さんからすると東風は荒れる風
 の意味が強いようで、あまり歓迎される風ではないようです。

 さて、当地和歌山では既に梅東風の季節はとうに過ぎ、桜東風の季節となっ
 ております。皆さんのお住いの地域でも、様々な東風が、春を運んでいるこ
 とと思います。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/03/17 号

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