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【雲の峰】(くもの みね)
 夏、峰のように高く立つ雲。入道雲。夏の季語。
  《広辞苑・第五版》

 夏の夕立や雷の元となる積乱雲のことです。
 夕立や雷の元となることから夕立雲、雷雲とも呼ばれます。またその形状か
 ら入道雲、鉄床雲(かなとこぐも)などとも呼ばれます。

 地上からの強い上昇気流に乗って時には高さ15kmにも達する巨大な雲が夏の
 強い陽射しを受けて白く輝く様は勇壮です。
 この勇壮な雲が青空を背景にしてモクモクと立ち並ぶ様を峨峨たる山の連な
 りに見立てて「雲の峰」と呼ぶようになったのでしょう。
 雲の峰という季語で思い出されるのは、奥の細道の

  雲の峰 いくつ崩れて 月の山

 ではないでしょうか。
 月の山は出羽三山の一つ、山形県の月山のこと。
 この歌は元禄二年六月六日に詠まれた歌だそうです。現在の暦に直せば7/22
 ですから、時期としてはもう少し後、梅雨明け後の暑さ厳しい夏の日に詠ま
 れたものでしょうか。

 月山は標高 1981mと 2000mにもみたない山ですが、豪雪地帯の山で冬に降り
 積もった深い雪が夏になっても融け残って、山肌を雪が覆う山です。
 盛夏の頃となっても多くの雪を残す白い山月山と、その山の上にそびえるさ
 らに白い空の山、陽光に輝く夏雲の姿を眺めてこの句を詠んだのでしょうか。

 地方によっては、この夏空に沸き立つ雲にその地方名に「太郎」をつけた名
 前で呼ぶことがあります。
 板東太郎、信濃太郎、丹波太郎、比古太郎などがその例です。
 名前が付けられるほど、親しまれ、畏敬された雲だったのですね。

 昨日は梅雨の合間の晴れた一日でした。
 午後になると遠くに霞んだ青い山の上に、雲の峰が育ちつつありました。
 今はまだ雄大とまでは言えない雲の峰ですが、あと半月もすれば、大きく育
 った雲の峰々が連なる空を目にする毎日となることでしょう。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/07/05 号

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