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【龍淵に潜む】(りゅう ふちにひそむ)
 「龍淵に潜む」は秋の季語。
 龍といえば、中国では霖旱(りんかん)を支配する神力を持った神獣と考え
 られています。「霖雨」と言えば長雨のことですが、霖の一字でも長雨の意
 味を持ちます。一方「旱魃」で日照りを表す言葉であり、旱の一文字もまた
 日照りを表します。
 つまり霖雨を支配するという龍は、雨と日照りを自在に操れる神獣というこ
 とになります。

 この龍は、「春分に天に昇り、秋分に淵に潜む」と言われ、ここから「龍淵
 に潜む」が秋の季語となったものと思われます。

 秋と言えば、これから秋梅雨と呼ばれる秋の長雨の時期が来るというのに、
 その雨を司る龍が秋の長雨の前に早々と淵に潜んでしまうのはおかしな気が
 します。龍はただ雨を司るものと考えてはいけないのかも知れません。

 春分の頃から秋分の頃までに活躍する(?)雨を司る神の意味をかんがえる
 と、そこには稲作と雨の関係を連想します。

 春分過ぎ、水のない田の土を起こして水を引き、水田の準備を始めてここで
 稲を育て、十分に育って稲穂が実る秋分の頃に水田から水を落として実りを
 収穫します。稲の収穫が終われば水田はまた乾いた田に戻ります。

 まるで龍は稲を育てるために目覚めて雨を降らせ、水田を潤し、稲の収穫の
 時期に、その役割を終えたように淵に潜むようです。
 春分に現れ、秋分にかくれる水の神、龍は私たちの一年の糧である稲の生育
 を左右する神だったのかも知れません。稲も十分に育ち、収穫が間もなく終
 わるこの時期、一年の仕事を終えて龍は淵に沈んで来春を待つのでしょうか。

 龍が淵に潜む日と言われる秋分を四日後に控えた昨日の夕方、空に大きな虹
 を見ました。そういえば虹もまた龍の眷属。
 昨夕、空にかかった大きな虹はこれから淵に潜み、春までの眠りにつく前の
 龍の最後の姿だったのかも知れません。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/09/20 号

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