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【推敲】(すいこう)
 [唐詩紀事四十](唐の詩人賈島(かとう)が「僧推月下門」の句を得たが、
 「推(おす)」を改めて「敲(たたく)」にしようかと迷って韓愈に問い、
 「敲」の字に決めたという故事)。
  詩文を作るのに字句をさまざまに考え練ること。

 賈島は唐代半ば中唐の頃の詩人で、自ら

   二句三年にして得
   一吟すれば双涙流る

 つまり、二句(対句)を得るのに三年も工夫をし、それが出来て一読すれば
 感激のあまり双方の目から涙が流れると言うほどの苦吟の詩人でした。
 この推敲の故事となった出来事も

  鳥は宿る 池中の樹
  僧は推す 月下の門

 という詩句を得たけれど、「僧は敲く」の方がよいのではとも思え、ロバに
 揺られながら考え続けるうちに、うっかり偉い方の行列に突っ込んでしまい
 ました。

 この偉い方とは、唐の首都長安の長官といいますから、東京都知事のような
 方で、韓愈(韓退之(かんたいし))という方でした。
 この行列にうっかり突っ込んでしまったのですが、その無礼者はすぐに取り
 押さえられて行列に突っ込んだ理由について問いただされます。
 それに対して賈島は

  「僧は推す」がいいのか「僧は敲く」がいいのか考えていて、行列に気が
  つかず突っ込んでしまった。

 とありのままに答えました。
 この取り調べ報告を聞いた韓愈は、しばらく考え込んだと思うと

  それは、「敲く」がいいでしょう。

 と賈島を責める替わりに、賈島の悩みに答えたそうです。
 賈島はこの事件がきっかけとなって韓愈の門人となり、やがて詩人として知
 られるまでになりました。
 ちなみにこの長安の長官、韓愈は唐宋八大家(唐代、宋代の文章の名手八人)
 の筆頭に名を連ねる程の一流の文人でした。

 賈島にとっては、門を推すか敲くかと悩んだことが、詩人として世に出る門
 を敲く結果となったようです。

 対句一つの工夫に三年を費やすほど文章を作るというのは大変なこと。
 それなのにこの日刊☆こよみのページときたら・・・。
 私の場合、文章内容の「推敲」以前に、誤字脱字の校正さえ出来ておりませ
 ん。自分では敲けないので、連日隅掘り隊の隊員の皆様からの

  袋だたき

 にあっております。
 でもこの「袋だたき」のお蔭で、バックナンバーからは誤字脱字が減ってく
 れますので、大変感謝しております。
 とはいいながら、それでも隅掘り隊隊員からのメールを開ける時はいつもド
 キドキしてしまいますけれど。
 さて、今日はどんな風に敲かれますやら。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/01/26 号

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