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【杜撰】(ずさん)
 (ズザンの訛。一説に、杜黙(ともく)の作った詩が多く律に合わなかったと
 いう故事から)
 1.著作で、典拠などが不確かで、いい加減なこと。
 2.物事の仕方がぞんざいで、手落ちが多いこと。
  正法眼蔵仏道「いまの杜撰の長老等、みだりに宗の称をもはらする」。
  「―な計画」
   《広辞苑・第五版》

 杜撰は杜黙の故事から、「杜黙詩撰(ともくしさん・ともくしせん)」とも
 いわれます。
 広辞苑の説明のまず最初に登場した杜黙ですが、「杜撰」から連想すると杜
 黙の詩作は随分下手だったように思えますが、そんなことは無くて宋の時代
 の著名な詩人の一人に数えられるほどの人でした。

 杜黙の詩は、下手なのではなくて韻律などといった漢詩作の規則から逸脱す
 ることが多い、今風に言い方を変えれば個性的、型破りなものが多かったこ
 とから、「杜撰」は

   杜黙の詩は変則的だ

 といった意味で使われたようです(杜撰の「撰」は詩を作ると言うほどの意
 味の言葉)。変則的、則ち下手というわけではありません。

 それがいつのまにやら、「いい加減」「間違いが多い」といった意味へと変
 化してしまい、杜黙が著名な詩人だったというようなことはすっかり忘れら
 れて、その名は

   杜撰 = いい加減。間違いが多い。

 という不名誉な意味の言葉の中だけで定着してしまいました。
 見る目のない私のような者には、「ピカソの絵」が「わけのわからない子供
 の落書き」と等価に捉えられるようなものでしょうか。

 今の世の中だったら、「型に囚われない斬新な詩風」とか何とかいわれて持
 てはやされていたかも知れないのに、杜黙は生まれる時代を間違えてしまっ
 たのかも知れません。

   神様ったら、やることが杜撰なんだから

 お墓の下で、そんなことを杜黙が呟いているかも知れませんね。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/04/08 号

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