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【悪貨は良貨を駆逐する】
 1.「グレシャムの法則」参照。
 2.転じて、悪人のはびこる世の中では、善人は不遇である。
   《広辞苑・第五版》

 ついでですので、グレシャムの法則も紹介します。

 【グレシャムの法則】
  同一の名目価値を持つものの実質価値を異にする貨幣が一国内に共に流通
  する時は、良貨は消え、支払には悪貨だけが使われる傾向になる、すなわ
  ち「悪貨は良貨を駆逐する」という法則。
   《広辞苑・第五版》

 グレシャムとは、16世紀にイギリス王室財務官を務めた人物で、この言葉は
 エリザベス1世に対して、貨幣の改悪(金の含有量の低い金貨を作ったこと)
 のために、良質の金貨がイギリスから流出してしまうという内容の手紙を書
 いたことから、貴金属の含有量の少ない悪貨を作ると貴金属の含有量の多い
 良貨は市場を流通しなくなるという現象の説明に、その名が使われるように
 なったのだとか。

 金本位制の時代、同じ額面の金貨があったとき、一方が金の含有量が高い良貨
 で他方がそうでない悪貨であった場合、人々は商取引には悪貨を用い、貴金属
 としても高い価値を持つ良貨はしまい込まれて、市場に出回らないという理屈
 です。
 グレシャムは貿易による海外への良貨流出を指摘したのであって、グレシャム
 自身は「グレシャムの法則」そのものを語ったわけでは無いのですが、そんな
 細かなことは気にしないことにしましょう。

 既に説明したとおりこれは、貴金属の価値に裏打ちされた金本位制経済状況下
 での話であって、現在の紙幣の如くその貨幣の価値そのものではなく、その額
 面を政府が保証する管理通貨制度の下では、本来のこの法則の意味は失われま
 す。そのためでしょうか、現代では「悪貨は良貨を駆逐する」と言う場合は、
 広辞苑の解説1より、2の「悪人のはびこる世の中では、善人は不遇である」
 という意味で使うことが普通のようです。

 人に限らず(もちろん人もそうですが)良質なものはあまり流行らず、質の低
 劣な者ほど流行る、現在はそうした現象がそこかしこで見られます。

 昔の人はそれでも良貨と悪貨を見分けて、良貨は溜め込んで使わないという点
 では、きちんとその価値を見分けて判断しているとも言えますから、経済学的
 視点以外から見れば、今の私たちより大したものだったとも言えます。

 我々も先人を見ならって見る目を養い、悪貨と良貨をきちんと見分けるように
 なりたいものです。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/08/05 号

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