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【孫の手】(まごのて)
 (→)麻姑(まこ)2に同じ。

 【麻姑】(まこ)
  1.中国伝説の仙女。姑余山で仙道を修め、その爪は長く鳥の爪に似、後漢
   の蔡経が、これで痒かゆい所を掻いて貰えば愉快この上もないだろうと
   考えたという。
  2.(マゴとも)長さ50〜60センチメートルほどの棒の端を手首の形に造り、
   背中など手の届かない所を掻くのに用いる具。象牙製のものや竹を曲げ
   て作ったものがある。まごのて。
   用例. 麻姑を倩(やと)て痒(かゆ)きを掻く
     《広辞苑・第五版より》

 世の中には、誰でも知っているけれどなぜそう呼ばれているのかわからない
 道具やら器具があります。今回取り上げた「孫の手」もそうした、不思議な
 名前を持った道具です。

 生きていればイライラすることの一つや二つ、毎日のように経験しますが、
 そうした「イライラすること」の一つに手の届かない箇所のかゆみがありま
 す。たかが痒みといってしまえばそれまでですが、気になり出すと何も手に
 つかなくなるようなこともしばしば。そんなつらい状況から救い出してくれ
 る道具が「孫の手」です。

◇「まご」じゃなくて「まこ」?

  なぜ孫の手は、「子供」ではなくて「孫」なのだろう?

 そんな疑問を持ったことはありませんか。
 私がこの疑問を持ったのは、確か小学校の二年生くらいの時でした。

  「子供の手より小さいだろう、だから孫の手」

 確かそんな説明をされて、なんだか釈然としないままこのQ&Aは終了して
 しまったように思います。孫だっていつか育つから、いつまででも小さい訳
 じゃ無いだろうに・・・。

 小学二年生の時にはなんだか丸め込まれてしまった私の質問でしたが、その
 答えは「孫(まご)の手」じゃなくて「麻姑(まこ)の手」だったのでした。
 なるほど、「鳥の爪に似た長い爪を持つ仙女」に痒いところを掻いてもらっ
 たらどんなに気持ちがよいかと考えて作られた道具があの「麻姑の手」転じ
 て「孫の手」だった訳です。

 ただ、現在の孫の手を眺めるとその形状は「鳥の爪に似た長い爪」を思い起
 こさせるものではありません。鋭い爪を持つ「麻姑の手」で掻いてもらった
 らきっと愉快だろうと考えた後漢の蔡経の思惑とは違って、あまり鋭い爪が
 あっては痛かったのでしょうか。

 「麻姑の手」という言葉が「孫の手」に変じたように、その形状も鋭い爪の
 ある手からほどほどの鋭さと丸みのある現在の形に変じてたのでしょうか。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/06/17 号

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