こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
【虎杖】(いたどり)
 タデ科の多年草。
 都会地の路傍から高山まで、いたる所に生え、根茎は長く這う。
 若芽はウドに似て、紅色・微紅の斑点がある。茎は中空で節があり、高さ1
 メートル余。葉は煙草の代用とした。

 雌雄異株。夏、淡紅色または白色の花穂をつける。
 若芽を食用とし、また、根は「虎杖根」として利尿・通経・健胃剤とする。
 スカンポ。古名は「たぢひ」「さいたづま」とも。
 春の季語。
 反正紀「多遅の花は、今の虎杖の花なり」
   《広辞苑・第六版》

◇「虎杖」で「いたどり」?
 春になると庭の隅や田んぼの畦、河原の荒れ地や工事現場の砂利の山といっ
 た、日当たりのよい場所ならどこでもいいよというようにところ嫌わず生え
 て来るイタドリ。

 漢字で書けば「虎杖」です。これはこの植物の漢名そのもの。
 その漢名の文字の読みとして和名の「いたどり」を当てたものですから「虎
 杖」の文字がイタドリという植物名だと知らない限り、「いたどり」と読む
 ことは出来そうにありません。

 虎杖の漢名は、イタドリの茎がまっすぐに伸びて杖のようであることと茎の
 表面に出来る斑紋が虎の模様に似ているところからだとか。
 茎の表面の斑紋が虎の模様に似ているという点については、

  そう言われればそんな気もする

 程度のものではありますが、納得出来なくはない説明です。
 「そうかあの模様から虎の杖か」、そう思って「虎杖=いたどり」と覚えて
 おくことにしましょう。

◇イタドリ、世界を制す?
 このイタドリは沖縄や小笠原を除くほぼ日本全土に普通に自生する植物です。
 工事現場の砂利の山にさえ生えてくるほど旺盛な生命力を持った植物ですか
 ら、都会でも一寸した空き地にも元気に育ちます。

 イタドリは、江戸時代の終わり頃に日本を訪れたシーボルトらによって観賞
 用や、家畜の飼料用として海を渡ってヨーロッパに持ち込まれました。
 あとはその旺盛な生命力をもって、わずか 150年そこそこの間にスカンジナ
 ビア半島中部からニュージーランドに至るまでの新旧大陸に広がった(大場
 秀章著『道端植物園』)そうです。
 さしずめ、イタドリの世界制覇です。

 最近活力を失ってしまっている観のある日本や、日本人にもこのイタドリの
 活力を分けてもらいたいものですね。

◇ゴンパチ
 現在私の自宅は和歌山県の南部にあります。
 この地方に住むようになった年の春に、山菜の煮付けを頂きました。
 蕗の煮付けかとも思いましたが、蕗にしては太すぎるし柔らかすぎる。なに
 より蕗の時期には早すぎる。この山菜の正体は何かと尋ねると

  ゴンパチや

 と教えられました。
 ゴンパチ・・・権八・・・?

 「ゴンパチ」の生えている場所、その姿形などを詳しく聞いてみると、イタ
 ドリの若芽であることがわかってきました。

 私の生まれ育った田舎(福島県)でも、春になるとイタドリの紅紫色の若芽
 がそこかしこに顔を出していましたが、食べたことはありませんでした。

 食べてみれば案外おいしい。
 しかも材料はどこででも手に入るというのに、よそでは食べるという話を聞
 いたことがありません。「ゴンパチ」という呼びもしかり。
 所変われば呼び名もかわる、料理もかわるということのようです。
 今では「ゴンパチ」という言葉を聞くと、

  和歌山に帰ってきたんだな
  春なんだな

 と思うようになりました。
 家の前の草地に生えたゴンパチを目にして、春なんだなと思いながら書き始
 めた今朝のコトノハでした。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2012/05/02 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック