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【葛の裏風】(くずの うらかぜ)
 クズの白い葉裏を返して吹く風。
 赤染衛門集「かへりもぞする葛の裏風」
  《広辞苑・第六版》

 葛は新しく造成された土地や、河川敷の土手を覆い、線路の砂利の間からで
 も芽を出して伸び出す、生命力の旺盛な植物です。
 葛の葉は、表は緑色ですが、その裏は銀白色。
 風が吹くと大きな葛の葉が裏返り、白い道となって風の跡を示します。

 葛の葉を裏返させるこんな風を「葛の裏風」と呼びます。
 また、葛が風によって葉の裏を見せるさまを「裏見(うらみ)」と言います。
 和歌などではこの「裏見」を「恨み」にかけて

  秋風の ふき裏がえすくずの葉の
   うらみてもなほ うらめしきかな (古今和歌集 平貞文)

 こんな風に詠んだ歌が数多くあります。
 戯れに葉を裏返しておきながら、行き過ぎて再び戻ってこない風を、葛の葉
 はどんな風に感じているのでしょうか。
 秋の一日、そんなことを考えながら葛の葉を裏返す風を眺めてみると楽しい
 かも知れませんね。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2012/10/06 号

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