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【冴え返る】 (さえかえる)
 1.光や音などが非常によく澄む。また、冷えきる。
  新後拾遺和歌集冬「しぐれつる宵の村雲冴え返りふけ行く風にあられ降る
  なり」。「冬空に冴え返る月」
 2.寒さがぶり返す。春の季語。
  玉葉集春「冴え返り山風荒るる常磐木に降りもたまらぬ春のあわ雪」
   《広辞苑・第六版》

 立春を過ぎ、暦の上では春を迎えてから体験する寒さを「冴え返る」と表現
 します。立春後の寒さを表す言葉には他に「余寒」がありますが「冴える」
 と「返る」という言葉が組み合わされたこの「冴え返る」には、単に余寒と
 いう言葉の意味するものとは違った何かを感じます。

 まず「冴える」ですが、冴えるには冷えるという意味と、光や音、色などが
 澄むという意味があります。また、「頭が冴える」のように、技量、腕前が
 見事であるという意味もあります。次に「返る」には、元の状態に戻るとい
 った意味がありますから、「冴え返る」は単に余寒というのとは違って、一
 度、温かい春の気を感じた後に、その春の気を鋭利な刃物でそぎ落としたよ
 うに、一気に冬の寒さに戻る、そうした見事な、逆転劇のような寒の戻りを
 感じさせます。

 その上、春の暖かな気を感じて緩んだ気持を、空気の色を、一瞬にして引き
 締めるような、鋭い寒さを表す語のように感じられます。
 折しも今年は立春後に暖かな春の気を感じた後、この冬一番といわれる厳し
 い寒さにさらされています。

 「冴え返る」

 今の私達が感じている厳しい寒さを表すには、これほど適した語は他には無
 いように思います。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2014/02/12 号

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