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【忍冬】(すいかずら)
 スイカズラ科の常緑蔓性木本。
 山野に自生し、ときに観賞用に栽培。全株に褐色の細軟毛を密生。
 初夏、芳香のある白色または淡紅色の唇形花を開き、のち黄色に変わる。
 黒色の液果を結ぶ。

 茎・葉を乾したものは漢方生薬の忍冬(にんどう)で利尿・解毒・解熱薬、
 花を乾して吹出物などの洗浄用とする。
 葉が冬でもしぼまないので、忍冬の名がある。
 金銀花。夏の季語。〈本草和名〉
   《広辞苑・第六版》

 甘い香りがしました。
 その香りに気が付いたのは、一週間ほど前のことでした。

 家から職場に向かう道に沿って、細く長い公園があります。
 この道を通うようになって一月半。
 新しい職場にも慣れたころに、この香りに気が付きました。
 昔懐かしい香りでした。

 公園と道路との間には二つを隔てる生け垣があります。
 香りの出所はこの生け垣でした。
 見れば、生け垣のそこかしこに、白と黄色の愛嬌のある花が顔をのぞかせて
 いました。忍冬の花です。

 忍冬の花は始めは白く、これが受粉すると黄色に変わるのだそうです。こう
 して黄色と白の花が混ざり合って咲く様子から付いた異称が金銀花というわ
 けです。
 生け垣からのぞいている花の色の割合は、受粉後の黄色い花はまだ 1/3ほど
 と少数派。まだまだ、虫たちの活躍の余地は残されているようです。

◇「すいかずら」は「忍冬」
 忍冬は丈夫な植物です。すいかずらを「忍冬」と書くのは冬にも枯れること
 がない植物だからです。こんな丈夫な植物ですから、都会の公園の生け垣の
 隙間にも元気に生きて、花を咲かせているのでしょう。
 人の手によって大事に植えられ、育てられたわけではない忍冬ですが、それ
 でも機嫌良く、金銀の花を咲かせ、気前よく甘い香りを振りまいてくれてい
 ました。

◇「すいかずら」は「吸いかずら」
 「すいかずら」の名は、その花の蜜を吸ったことからついたものだと云われ
 ます。つまり「吸いかずら」というわけです。
 忍冬の香りを私が「懐かしい」と感じるのは、私も昔、この花の蜜を大分吸
 わせていただいた子供だったからです。野山を山猿よろしく遊び回っていた
 時代には、随分この花の蜜の恩恵に与ったものでした。

 あの山猿時代から随分月日が流れてしまいましたので、あれほどお世話にな
 った忍冬の蜜の味をすっかり忘れてしまいました。
 どんな味だったかな?

 昔の山猿も今ではそれなりに齢を重ね、良識ある大人の振りをして暮らして
 いますから、人目のある中では忍冬の花に蜜を吸うという行為は自制してお
 りますが、人目が無いとなったら自制は解けてしまうかも。
 昔懐かしい甘い香りの忍冬の蜜の味は、やはり昔懐かしい甘い味なのでしょ
 うか。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2014/05/25 号

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