こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
【着脹れ】(きぶくれ)
 重ね着して体がふくれたさま。冬の季語。
   《広辞苑・第六版》

 明後日には、冬至。冬至は「冬至冬中冬はじめ」と云います。昼の長さ、太
 陽の光の強さという点では冬の至り、極みといえますが、気候的に考えれば
 冬の寒さはまだ始まったばかりという意味です。

 気温という点でみれば、一月や二月の方が冬至に近い今の時期より寒いのは
 間違いないでしょうが、冬の初めで、まだ寒さになじんでいない身体には、
 冬の始めの寒さは、なかなか応えます。
 何とかしないと。

 冬の始めで、暖房器具の準備がまだ整わないということにでもなると、手っ
 取り早い対処法は重ね着です。
 「寒いな」と思うたびについ何枚もの服を重ね着して、気が付くとモコモコ
 になって、なんだか動きにくい。沢山の服を重ね着すると動きにくいが、か
 といって、脱いでしまうと少々寒い。

 着脹れしている人にとっては動きにくくて困った話ですが、目を転じて着脹
 れする側にまわると、なんとなく動きにくそうな着脹れしたひとの様子は、
 ユーモラス。その方には悪いと思うのですが、見ているとなんだか気持を温
 かくなるような気がします。

 現代は、エアコンで室内は一年中快適な温度。
 外に出るにしても薄手の保温性の高い衣服が現れてきていますから、昔のよ
 うにモコモコに着脹れすることも無くなってきました。
 着脹れという言葉は、いまではもう、一時代前の言葉になりつつあるようで
 す。

 便利な時代になったことは間違いないのですが、部屋の中をいつも快適に保
 ってくれるエアコンも、高機能の衣類も、身体は暖めてくれても、心までは
 温めてくれません。
 街行く人がスマートになりましたが、着脹れした姿が減った分だけ、街中の
 寒さが増したかもしれないなんて考えるのは、私が一時代前の人間になった
 証なのでしょうか?

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2014/12/20 号

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