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【其の愚及ぶべからず】(そのぐ およぶべからず)
 論語、公冶長篇に有る言葉です。この言葉は寧武子(ねいぶし)という人物
 を孔子が評した言葉です。
 やや長いのですが引用すれば、次のような意味の評です。

 「寧武子は、国に道(正道が行われていれば)があれば知者として活躍し、
  国に道が無ければ愚か者のようであった。
  その知者ぶりは真似出来るが、
  その愚か者ぶりは真似することが出来ない」

 たまには、好きな言葉を取り上げてみるのもよいものだと、勝手に取り上げ
 たのが本日のこの言葉。後半の「其の知及ぶべし。其の愚及ぶべからず。」
 だけで使われることが多い言葉ですが、今回はその言葉がどのような文脈の
 中で使われたかを知っていただくため、一つの文章として取り上げてみまし
 た。

 寧武子という人物は、正道が行われるような国(世の中)であれば、知者と
 して世に出て、存分にその手腕を発揮するが、正道が通らないような国であ
 ればその知を封印し、愚か者であるかのように生きて、誰からも顧みられる
 ことが無くても一向に気にしないで生きることの出来る人物である。
 その知者としての活躍ぶりは真似することが出来るが、愚か者のごとく見ら
 れても平気で生きてゆけるということは、真似のできることではないという
 意味でしょう。

 人間なら誰でも有能な人物であると評価され、それによって相応の敬意をは
 らわれたいと思うものでしょう。そしてそうした欲望は自分が有能であると
 思う人物であればあるほど強いものではないでしょうか?

 孔子は寧武子の能力を評価しますが、その能力以上に、力を発揮すべきでな
 いときには、平気で愚か者として生きてゆけるその人格(?)を、より高く
 評価しているようです。

 さてさて、「其の愚及ぶべからず」と評された寧武子が今の世の中に生きて
 いるとしたら、寧武子は知者として力を発揮しているのでしょうか、それと
 も愚者として過ごすのでしょうか?

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2018/01/10 号

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