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【眉月】 (まゆづき)
 女の眉に似た細い月。新月。眉月(びげつ)。
   《広辞苑・第六版》

 「女の眉に似た細い月」といっても、女性の眉の太さは時代によって様々。
 殊に近年のように流行の変化の激しい時代には、女性の眉が細いとは必ずし
 も言えませんが、現実の世界の流行はさておき、この「眉月」における眉は
 細い筆で一筋描いたような細い眉を連想してください。

 広辞苑の語釈では次に、「新月」とありますが、この新月は現在、一般に使
 われている新月(新聞の「暦」欄に見かける「新月の日」というところの新
 月)ではありません。現在の新月は太陽とほぼ同じ方向にあって、しかもそ
 の影の部分(太陽の光に照らされていない半球部分)しかみえませんので、
 見ることは出来ません。

 ここで云うところの、新月とは太陰太陽暦時代の暦月の最初に見える初見の
 月、三日月のことを指すと考えてよいでしょう。現在でもイスラム教の宗教
 暦では、この初見の月を実際に確認して新しい暦月の始まりとするといった
 伝統が残っています。おそらく計算で現在の天文学的新月を求めることが出
 来るまで、天文学や暦学が進歩するまでは、世界の多く太陰暦や太陰太陽暦
 ではイスラムの宗教暦で行われているような「初見の月」を暦月の区切りと
 して用いていたことでしょう。

 こうしたことから眉月とは、初見の月、三日月の異称の一つとされることが
 あるのですが、これだと眉が一つだけとなってしまいますね。でも眉といえ
 ば左右で一対。お月様の「眉月」も、もう一つあってもよいのでは?

 「眉月」が細い筆で一筋描いたような細い月という、形に重点を置いた月の
 呼び名だと考えれば三日月と対を為すのは、新月の2〜3日前の日の出直前に
 東の空に昇る細い月がそれに当たるでしょう。そうした月は三日月同様に、
 旧暦時代の暦日を用いた呼び名で云えば、「二十六夜の月」。

 夕方の三日月と違って、夜明け前に昇る二十六夜の月は、現代では余程早起
 きな方以外は見ることがないかもしれませんが、二十六夜の月と三日月の二
 つの細い月で、お月様の一対の眉ができあがります。普段は夜明け前に起き
 ることなど無い私ですが、たまには早起きして、三日月と対を為す明け方の
 眉月を眺めてみようかな。皆さんも、いかがですか?

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2019/11/25 号

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