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【節季の風邪は買ってでもひけ】
 忙しい時期でも公然と休めるから、病気もその時は重宝であるの意。
  《ことわざ大辞典・第一版》

 これを書いているのは2021/1/9。
 1/9は「風邪の日」と言うことで、風邪にまつわることわざを採り上げてみ
 ました。

 ここのことわざの中に登場するのは「節季」。
 日刊☆こよみのページに頻繁に登場する「節気」とよく取り違えられる言葉
 です。「節気」と「節季」では意味はちょっと違います。と言うことで、こ
 ちらも辞書を引いておくと

 【節季】(せっき)
  1.季節の終り。また、時節。
  2.盆・暮または各節句前などの勘定期。
   浄瑠璃、長町女腹切「節季にせびらかし足らいで」
  3.年の暮れ。年末。歳末。冬の季語。
   日葡辞書「セッキ。トシノスエ」
   《広辞苑・第六版》

 最初のことわざの「節季」は2の意味ですね。
 「風邪を引いたら公然と休める」とは言いますが、今はなかなかね。
 医学は進歩し、よく効く薬もありますから、風邪くらいじゃ仕事は休めない
 というのが現状のようです。

 ただし例外もあり。それはインフルエンザのような伝染性のもの。
 インフルエンザの場合、周囲の者への感染力が強いので、それに罹った状態
 で出勤などされると周りが迷惑し、一人が休む以上の影響を与えてしまうか
 ら。よく言えば周囲への配慮。冷たく言えば合理的な損害計算の結果。

 「風邪の日」の由来となった、江戸時代の名力士、二代目谷風梶之助の死の
 原因となったものも、どうやらインフルエンザだったようです。

 医学的にはインフルエンザは風邪の一種ではなく、独立した疾患として扱わ
 れますが、軽症の場合は、風邪(普通感冒)と区別が付きにくいことから、
 我々素人は両者を混同して使うことが多いです。「風邪の日」というネーミ
 ングも、この混同の結果でしょうね。

 「風邪を引いたら休める」なんていうのは、そこまでひどい風邪の話ではな
 いでしょうから、こんなことわざは「重篤なインフルエンザを除く風邪」の
 ことなんでしょうね。

 その程度の風邪なら、普通の年なら毎月のように引いてしまっているカワウ
 ソですが、既に書いてきたとおり、現代はその程度の風邪ではなかなか休め
 ませんので、「節季の風邪は買ってでもひけ」とはいえません。
 「風邪よりも身にしみるのは世間の冷たい風」ですね。嗚呼・・・。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2021/01/09 号

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