【蓮】(はす)
(「はちす」の略)スイレン科の多年草。インドなどの原産。
古く大陸から渡来した。仏教とのかかわりが強く、寺院の池、また池沼・
水田などに栽培。長い根茎は先端にゆくほど肥大し、ひげ根を出す。
葉は水面にぬき出て、円く楯形で直径60センチメートルに達し、長柄がある。
夏、白色または紅色などの花を開く。
普通16弁。果実・根茎(蓮根れんこん)などを食用。古名、はちす。
夏の季語。
《広辞苑・第六版》
これを書いているのは、2021/7/24。昔々、中国では六月二四日(いわゆる
旧暦による日付)は観蓮節とよばれ、この日には蓮の花を愛でる観蓮会が行
われていたとか。この中国の慣習は日本にも伝えられ、日本でも観蓮節が行
われるようになりました。現在は、この風習を月遅れで行う地域が多いとの
ことで、今日は月遅れの観蓮節にあたることから、コトノハで「蓮」を取り
上げることにしました。
蓮はインド原産とされますが、日本でも新生代第三期〜四期の時期の化石が
発見されているとのことなので遠い昔は、蓮の仲間が自生していたのでしょ
う。現在の蓮はインド原産のものが渡来したもとだとしても、2000年以上前
の地層から発見された大賀蓮の例を見ればわかるとおり、弥生時代には既に
日本でその花を咲かせていた、歴史の古い花です。
蓮は仏典によれば釈迦が生まれたとき、母の摩耶夫人の周囲に咲き乱れてい
た花で、釈迦はその花の一つの中に立って「天上天下唯我独尊」と第一声を
発したといわれています。その真偽の程はさておくとして、泥沼に生えて泥
に染まらず、真っ直ぐに茎を伸ばして清浄な美しい花を咲かせる蓮に、何か
神聖なものを感じていたことは間違いないでしょう。
◇観蓮会のタイミング
蓮の花は、1日目には午前5〜6時頃から花が開きだし、完全には開ききらな
いまま、午前8時頃には閉じてしまい、2日目には未明から開き始め、朝に開
ききって昼頃には再び花を閉じてしまいます。3,4日も同様に花を開きます
が、4日目には開ききってから外側の花弁から脱落し始めて、花を終えると
のこと。なかなか時刻にうるさい花ですので、この気むずかしい花を楽しむ
ためには、早起きすることが肝要なようです。
ちなみに、「蓮の花が開くときにはポンッと音をたてる」といわれますが
どうやらこれは事実ではないようです。でもあれだけ大きな花ですから、
何となく「ポンッ」という音が聞こえてきそうな気はしますね。
明日の日曜日、早起きして蓮の花を眺めに行こうかな。
まだ涼しい早朝の空気を感じながらね。
オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2021/07/24 号
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