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【自縄自縛】(じじょう じばく)
 (名詞)自分の言動によって自分自身の身動きがとれなくなること。
 『自縄自縛に陥る』
 自分のなった縄で自分自身をしばる意から。
  《明鏡国語辞典・第二版》

 「ルールを守る」ということは日本の社会の美点ですが、時としてこれが行
 き過ぎだと思える場面を目にすることがあります。武漢肺炎対策とそれに振
 り回される私たちの現状(2022年1月現在)は、これかな?

 パンデミック、大流行などと言われながらも、これまでは身の回りにこの病
 気に罹った人をほとんど見ることがなかった。ところが、現時点での流行の
 中心となっているο(オミクロン)変異株なるものは、感染力が強いとのこ
 とで、ここに来てようやく私のまわりにも複数の発症者が現れてきました。

  本当に、拡がってきたんだな

 ようやくここに来てそう実感しています。
 さて、こうして何人かの発症者が出てくると、この病気の厄介さを実感する
 ようになりました。一人の発症者が出ると、その周辺の人が軒並み濃厚接触
 者となるとのことでPCR検査を受けて、結果が出るまで隔離のような状態に
 置かれます。

 PCR検査の結果、目出度く(?)陽性とでもなると、本人は無症状でピンピ
 ンしていても隔離は継続され、さらにこの陽性者の周囲の人が濃厚接触者と
 なると言うことで・・・。無限に連鎖。

 この連鎖のスタートとなった発症者にしても、症状はというと、体温が平熱
 より少し高かったり、倦怠感や咳などの症状があるということから、PCR検
 査を受けるようにと言われ、検査の結果から目出度く武漢肺炎の発症者認定
 を受けると言う感じ。武漢肺炎出現以前であれば

  ちょっと風邪気味なので、薬飲んでいます。

 とかいいながら、普通に仕事をしているような状態。
 私の身の回りの状況だけでは流石にサンプル数が少ないでしょうが、連日発
 表される国内の感染者(武漢肺炎についてのこの言葉も、他の病気のそれと
 異なる使い方が為されているので、使いたくない言葉ですが仕方ないので、
 そのまま使います)数と、そのうちの重傷者の数、さらにこれによる死者の
 数など見れば

  『オミクロン 検査しなけりゃ ただの風邪』

 なんて川柳を作った方がいらっしゃるようですが、本当にそのとおり。通常
 の解熱剤なども効果が出やすく、そうした薬の効果があるかどうかもこの変
 異株判定の指標となるなんていう報告もあるとか。うーん、本当にただの風
 邪になってきた感じです。

 それなのに、あちこちの都道府県で蔓延防止措置なる、自粛要請といいなが
 ら、もれなく社会的制裁がついてくる措置を採り始めています。

 私の職場は、こうした国や自治体の方針に極めて忠実なところなので、武漢
 肺炎がどれ程のものか判らない時に作られた念には念を入れた防疫対策を今
 も真面目に執っています。この「ただの風邪」みたいな病気にも。

 御蔭でここのところ、検査だ、隔離だ、消毒だ・・・となって、本来の業務
 は停止してしまっています。大変です。でもその大変さは、この病気の大変
 さというのではなくて、正体が判らない時に念には念を入れた防疫対策とし
 て自らが作ったルールのため。自縄自縛もいいところです。

 一度作ったルールはしっかり守るという日本社会の美点の弊害の縮図を見る
 ようです。自ら作ったルールなのだから、状況がこれだけ変わってきたのな
 ら修正してもよさそうに思うのですが、生真面目な人たちほど制限を緩める
 と言うことに罪悪感を感じるようで、緩む気配は微塵もなし。

  「う、あのときもっと緩めに縄をなっておけば良かった」

 自縄自縛と言う言葉を身にしみて感じているかわうそでした。

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2022/01/23 号

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