【霞】(かすみ)
1.微細な水滴が空中に浮遊するため、空がぼんやりして遠方がはっきりと見
えない現象。古くは、春秋ともに霞とも霧ともいったが、後世は、春のを
霞、秋のを霧という。春の季語。
《広辞苑・第七版より抜粋》
霞立つ季節と言えば春。
空中を漂う水滴という点では、霞も霧も同じものですが言葉としての霞と霧
に感じる随分と大きな差があります。
私にとって、霧を通して見える風景と言えば、針葉樹の木立であったり葉を
落とした木々の姿です。ところがこの「霧」を「霞」と言い換えるだけで、
その先に浮かぶ景色がガラリと変わります。「霞」の先に浮かぶ風景と言え
ばそれは桜の花であり菜の花でであり、田植えを待つ田んぼの眺めです。
私だけがそう感じるのかと言えば、どうやらそうではないようで、歳時記を
見ると霞は春の言葉、霧は秋の言葉と使い分けられています。どうやら多く
の人にとって、霞と霧とは別物のようで、霞には霧にはないほんのりと暖か
く柔らかな肌触りがある言葉のようです。
霞には霧にはない柔らかな肌触りがあると書きましたが、そういえば「霞た
なびく」とはいいますが「霧たなびく」という表現は、使われる例が少ない
ように感じます。たなびくという柔らかな語感の言葉に結びつくのは霧では
なく霞のようですね(個人の感想・・・かな?)。
歳時記によっては、秋の霧、春の霞という分類の他に、
昼は「かすみ」、夜は「おぼろ」と呼ぶ
と使い分けるものも有ります。
本日(2022/2/24)から、七十二候の『霞始めてたなびく』の時節に入りま
す。霞たなびく夕べに西の山に日が沈めば、東の空にはおぼろな月が昇る、
そんな季節が始まりました。
オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2022/02/24 号
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