こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■北極星は変わる
 北の空を向いて、北斗七星の柄杓(ひしゃく)からとか、カシオペアのWの
 辺を使ったりとかして、北極星を探したことは有りませんか?

 北極星は、現在天の北極から 0.7度程離れた場所にある 2等星。こぐま座の
 α星(ポラリス)ですがとびきり明るい星というわけではありません。
 ただ周囲に明るい星がないので、慣れてくれば探すのは簡単です。

 「現在天の北極から 0.7度程離れた」と書いたとおり、ぴったり真北にある
 わけでは有りません。たまに、北極星は真北にあると思っている方がいて、
 違うと言ったら「では北極星という名前は嘘じゃないか!」と腹を立てる方
 がいらっしゃるのですが、天の北極(南極)というというのは地球の自転軸
 の方向ですから、どこかの星にぴったり合うというようなものではありませ
 ん。現在の北極星だって、たまたまその近くにいただけの星です。

 ここまでの話の中でたびたび「現在」という言葉を使っていますが、このこ
 とにはお気づきでしたか?
 わざわざ「現在の北極星」とか「現在天の北極から 0.7度程」と書いたのは、
 これが変わるものだからなのです。

 こぐま座のα星(ポラリス)はこれからも少しずつ天の北極に近づいて行き、
 AD2100頃に0.46度当たりまで達します。そしてそれ以後はだんだんと北極か
 ら離れ始めます。つまり、ポラリスが北極星であるのは、ここしばらくの間
 と言うことになります。もっとも「ここしばらく」とは数百年。天文学の世
 界での「ここしばらく」は、人間には充分長い間です。

 このように天の北極と星の位置関係が変化する一番大きな理由は地球の歳差
 (さいさ)運動と呼ばれる動きのため。地球の自転軸の向きは星々の間を半
 径約23.4度の円を描くように移動しています。
 この 1周に要する時間は、 25800年。

 気の遠くなるような長さで、人間一人の寿命を考えれば、その一生の間に動
 く量は 0.5度程度( 100年生きたとして)。たいしたことは有りませんが、
 それでもたとえば飛鳥時代の人が見上げた空では、現在の北極星は天の北極
 から 8度もずれていたはず。
 BC3000年頃のエジプト王朝では、りゅう座のα星(3.6 等星)が北極星の役割
 をしていました。

 将来に目を転じれば、七夕の織り姫星として知られること座のα星(ベガ
 0 等星)が北極星となることもあります。ベガは大変明るい星ですから、そ
 の時代だと、わざわざ探し方を覚えなくても、すぐにあれが北極星だとわか
 って便利ですね。もっとも、それは1万3000年ほど後の時代の話ですが。

 本日は、たまたま星空を見上げる機会があったので、星にまつわるこぼれ話
 でした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2006/11/11 号

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