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■暦注の話・・・六曜(ろくよう)
 「お日柄(日の吉凶)なんて信じません」と公言している私ですが、自分が
 信じていようがいまいがそんなこととは関係なく、お日柄に振り回されるこ
 とが有ります。自分が信じていなくても信じている人が、「お日柄」に合わ
 せて予定を組んでいたりするためです。

 招かれる結婚式は大安だわ、友引だからと葬式の日取りを変更する人はいる
 は、赤口に新車を納品してもらってもいいかという問い合わせは受けるは。

 と書いたところで、ここであげた「大安」「友引」「赤口」はいずれも六曜
 と呼ばれるものです。現在は暦注と言えば真っ先に引かれるのがこの六曜。
 現代暦注の王様と言った感があります。

 六曜は、六曜星(りくようせい)、孔明六曜星(こうめいりくようせい)ま
 たは六輝(ろっき)と呼ばれるもの。六曜星の読みから考えると、六曜(り
 くよう)が正しいのでしょうが、現在はもっぱら「ろくよう」で通っている
 ようです。さて、ここでクイズです。次のA〜Cで正しい六曜の並びはどれ
 でしょう?

  A.大安・留連・速喜・赤口・小吉・空亡
  B.先勝・友引・先負・物滅・大安・赤口
  C.先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口

 では正解発表です。答えは「全部正しい」なのです。
 A〜Cはそれぞれ違う時代に記録された「六曜」なのです。
 Aは和漢三才図絵(正徳二年 AD1712)、Bは万暦両面鏡(延享四年 AD1747)、
 Cは現代使われている並びです。

 Aは元となった中国の小六壬(しょうりくじん)の並びですが、Bに至まで
 に何があったのか文字も順番も大きく変わってしまいました。そして最後に
 ただ「物が滅する」だった物滅が「仏が滅する」というたいそうなものに変
 わって現在につながりました。

 AとBの間に何があったのか、物滅が仏滅に変わったのはいつ頃かといった
 ことは実はよくわかりません。なぜかというとこの六曜に関する資料が大変
 少ないからなのです。
 今の六曜の隆盛からは信じられないかもしれませんが、沢山の暦注の載って
 いた江戸時代の暦に、この六曜は一度も載ったことがありません。

 暦注として載ったことがないものなので、当然「暦注」の解説書などで触れ
 られる機会も無く、よって資料が少ない。現在のように六曜が一般に使われ
 るようになったのは、明治の改暦以後の話です。

 この六曜ですが、ある日の六曜は旧暦の月日で決まっています。旧暦の正月
 一日なら先勝で、四月八日なら大安と言った具合です。
 六曜は

  (旧暦月 + 旧暦日) ÷ 6 の余りの数

 で決まります。ですから、旧暦を使っていた時代は、ある暦月の六曜は、い
 つの年でも同じで、それこそ「見なくても判る」ようなものだったのです。
 見なくても判るような暦注って、きっとあまり有り難みがながったのでしょ
 う。どうもその当たりが、江戸時代に六曜が流行らなかった理由じゃないで
 しょうか。

 時代とともに流行廃りが有るのは、暦注に限った話ではありませんが、それ
 にしてもこんないい加減な六曜で一生の大事である結婚式の日取りなんかを
 決めてしまって、本当にいいの???

 因みに、離婚した夫婦が結婚した日の六曜を調べたら、間違いなく一番多い
 のは「大安」のはずです。それでも「大安の日の結婚は目出度い」のでしょ
 うかね?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2006/11/12 号

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