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■干支(かんし・えと)の話 ・・・ その4
 さあ、本日は「丙戌年十月甲寅」の暦のこぼれ話です。

 昨日の話で十干、十二支それぞれに陰陽と五行が配された話をしました。陰
 陽説、五行説は古代中国の「科学仮説」として生まれたものです。この世は
 数少ない元素から成り立つという考えです。

 古代のことですからここでの「元素」の概念は大変素朴。
 陰陽に関しては男女、太陽と月(太陰)、裏と表など対となる概念から生ま
 れたものでしょう。 2つですから、強弱とか寒暖といった対比出来る概念を
 表すことが多い。

 五行はと言えば、「木火土金水」という日常に目にする 5つつの元素があげ
 られています。 5つもあるので単純な対比というわけには行かず、相互の影
 響について説明する何かの法則が必要です。そうして考えられたのが

  「相生(そうじょう)説」 と 「相剋(そうこく)説」

 相生説とは「○は△を生み出す」という関係。

  木は火を生み ⇒ 火は土(灰)を生み ⇒ 土は金属を生み
   ⇒ 金属は水を生む ⇒ 水は木を生む

 と言う循環です。お互いに親と子の関係なのでこの関係は「相性がよい」関
 係となります。

 相剋は「□は△に剋(か)つ」という関係です。

  木は土に剋ち → 土は水に剋ち → 水は火に剋ち
   → 火は金属に剋ち → 金属は木に剋つ

 と言う関係。一種の敵対関係ですから、この関係は「相性の悪い」関係とな
 ります。

 五行説はこの相生と相剋を化学変化のように用いて様々な物事の関係や変化
 を説明しようとしたものです。今では「科学」としては意味のない仮説とな
 り忘れ去られましたが、まだ占いの世界では、こんな古代の科学が信奉され
 ています。

◇干支と占いの関係
 干支は暦注ではないと干支の話の始めで書きましたが、無関係かと言えばさ
 にあらず。干支に割り振られた陰陽五行の解釈から様々な「暦注」を生み出
 す元になりました。

 たとえば「八専(はっせん)」という暦注があります。八専一(はちせんいつ)
 が本来の名です。これは「善いことは益々善く、悪いことは益々悪くなる」
 日と言われます。なぜかというとその謎解きは簡単です。

 八専は干支の49〜60番目までの12日間の内の 8日間です(残りの 4日は八専
 の間日(まび)と言われます)。八専の干支を書けば、

  壬子(水水)、甲寅(木木)、乙卯(木木)、丁巳(火火)、
  己未(土土)、庚申(金金)、辛酉(金金)、癸亥(水水)

 ()は天干と地支それぞれの五行です。ご覧の通り八専は干支の五行が同じ。
 同気という状態ですから、「善いものは益々善く・・・」と単純に考えられ
 たわけです。この同気の日がこの六十干支のこの部分に集中することから、
 昔の人はこの時期は天の力が一方向に傾きがちな期間であると考えたわけで
 す。

 暦注にはこうした日の干支や、日と月の干支の関係から「吉凶の意味を作り
 出した」ものが多く、説明を見ればなるほどと思えますが、なんと言っても
 その根底にある仮説がとうの昔に、現実とは合わないとして消えていった古
 代の科学仮説です。そう気が付くと「バカバカしい」ですね。

 本日で終わりとしようかと思ったのですが、少々長引いたのでもう少しだけ
 延長し、明日は丙午伝説など、干支にまつわる有名な話にふれて干支の話の
 幕引きにしたいと思います。ではお楽しみに。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2006/11/21 号

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