こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■「分ける」と「至る」
 「春分、夏分、秋分、冬分あるいは春至、夏至、秋至、冬至とは言わず、
  なぜ春分、夏至、秋分、冬至なのでしょうか?」 ・・・ 利幸様より

 と言う御質問を頂きました。なるほどこれは面白いと言うことで本日はこの
 謎について考えてみましょう。

 オフコースの曲に「僕の贈り物」というものがあります。オフコース、ああ
 よみがえる我が青春・・・、おっと思い出に浸るのは後々。この曲は、

  「♪ 冬と夏の間に春をおきました
     だから春は少しだけ中途半端なのです ♪」・・・by オフコース

 というフレーズではじまります。本日の話にはなんとぴったりなフレーズ!
 暦のこぼれ話風にこのフレーズを書き換えると、

  「♪ 冬至と夏至の間に 春分と秋分を置きました ♪」 by かわうそ

 と言うことになります。冬至と夏至、春分と秋分とをまとめて二至二分(に
 しにぶん)と言いますが、二至二分がどのように作られたかを考えると、ま
 ず二至が出来て、その後二分が出来たと考えられます。

  「ねえ、この羊羹(ようかん)を半分に切って」

 と言ったとします。羊羹を半分に切るためには何が必要でしょう? まあ、
 包丁は要りますが、それ以外に必要なもの(情報)はというと、それは羊羹
 の長さです。羊羹一本の長さが判らないと半分に分けることは出来ません。

 暦の最も重要な周期と言えばなにか、それは一年の長さです。ではこの一年
 の長さをどうやって決めたのでしょうか。
 一年の周期を測るというのはどういうことかと言えば、それは太陽の動きを
 測ることです。

 たとえば太陽が朝昇る位置を毎日記録したとします。冬になるとだんだんと
 その位置は南に移動して往き冬至の日に「もっとも南の位置」に達して、そ
 れ以後は、朝日の位置は北へ移動し始めます。そして「もっとも北の位置」
 に達した日が夏至。太陽はここでまた南下を始め再び冬至を迎えます。

 この冬至と冬至(あるいは夏至と夏至)の間隔が「1年」となります。
 ちょっと待って、春分・秋分だって、「太陽が真東から昇る」という特別な
 日だと言われそうですが、そもそも「真東」という方位を古代の人たちはど
 んな方法で測ることが出来たでしょうか?

 何もない状態から、「真東」を見つけるのは難しいことなのです。多分春分
 ・秋分の日に朝日が真東から昇ると言う概念は、春分・秋分という概念が明
 確になって以降に生まれたものでしょう。

 さて、話は冬至と夏至に戻ります。
 冬至は朝日がもっとも南に至る日で、夏至はもっとも北に至る日なのです。
 この日が特別な日だと古代に暦を作り始めた人が思ったのは当然でしょう。
 そしてそれぞれの季節は冬と夏。

  「冬に太陽がもっとも南に至る日」 ⇒ 冬至
  「夏に太陽がもっとも北に至る日」 ⇒ 夏至

 が生まれた。気候的に考えれば、冬至は冬の一番寒い時期ではありませんし、
 夏至が一番暑い時期ではありませんから、冬の至り、夏の至りとはいっても
 これは気候的な冬・夏の至りとはいえませんから、その点から考えても冬至
 や夏至は太陽の動きを表した言葉として生まれたと考えるのが妥当ではない
 でしょうか。

 さ、そこで「♪冬と夏の間に春をおきました」に戻ります。二至が出来ると、
 冬至から夏至までの長さが決まりました。長さが決まったので「半分」にす
 ることが出来るようになりました。そして半分に分けた点、二分の点が考え
 出されます。

 さて暦作成の重要な基点としてこうして二至と二分の点が決まると、さてそ
 の呼び名は。二至二分の四点で一年。そして中国や日本には一年に四季があ
 ります。でそれぞれの点をこの四季に当てはめれば、

 冬至(冬の至点) 夏至(夏の至点) 春分(春の分点) 秋分(秋の分点)

 と自然になりそうです。今回は語源の話なので、語源に関しては諸説あると
 思います。これまでの説明もそうした説のひとつとして「暦作成の原理」か
 ら私が推測した話ではありますが、そんなにとんでもない話ではないと思っ
 ています。

 なお、この辺の話は拙著「暮らしに生かす旧暦ノート」の第一章の「二十四
 節気の誕生」にも書いております(二至二分から更に二十四節気まで話を進
 めております)。お持ちの方は読み返してみてください。お持ちでない方は、
 こちらから ⇒ http://koyomi8.com/sub/ec/shop.htm

 体よく宣伝出来たところで、本日のこぼれ話はこれまで。ではまた次回。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2006/11/25 号

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