こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■地球照(ちきゅうしょう)
 今日は旧暦では10/25 。旧暦の二十五日ともなると月の出は遅く、明け方が
 近づいたころ、東の空に細い月を見るころです。
 旧暦二十六〜七夜辺りの月は、ちょうど三日月の反対と言ったところ。三日
 月同様に細い月が、夕方ではなく明け方に見えるころです。

 三日月でも、二十六夜頃の月でもこうした細い月が昇っているときは目をこ
 らしてまじまじと月を眺めると、月の明るく光る部分の他に、見えないはず
 の部分が薄ぼんやり見えることに皆さんはお気づきですか?
 この薄ぼんやりと見える部分を

   地球照 (ちきゅうしょう)

 と呼びます。
 じっくり見たことの有る方なら、うっすらと月の「兎」の模様もそこにある
 のが分かるはず。決して目の錯覚などでは有りません。

◇月の上から地球を見れば・・・
 地球と月は、互いの共通重心の廻りを27.3日ほどかけて一回りします。新月
 の時には、

  太陽 → 月 → 地球 ・・・ 新月

 という順番でほぼ一直線に列んでいます。この順番がもし、

  太陽 → 地球 → 月

 という状態になっていたらこれは何かと言えば、「満月」です。太陽の光を
 くまなく受けて明るい部分しか見えない月を眺めることが出来ます。
 満月は分かったとして、では新月の時に、地球から月ではなく、月から地球
 を眺めるたとしたらどうでしょう?

 お解りになりますか?
 新月のころに月の上では見事な「満地球」が見えているのです。

◇満月と満地球の明るさ
 さて、「満地球」なんていう言葉を勝手に作って説明していますが、地球で
 眺める満月のように、月面で眺める満地球もきっと明るいのでしょうね?
 その明るさは満月と比べたらどのくらいなものなのでしょうか?

 満月と満地球の明るさを比べるためには、その面積と反射能(反射率)が分
 かればおよそのことは見当がつきます。
 面積はと言うと、地球の直径は月のそれのおよそ 4倍。と言うことは面積は、

  満地球の面積 = 満月の面積 ×  4の二乗 = 満月の面積の16倍

 と言うことになります。大きいですね!

 次に満地球と満月とで同じ面積から反射される太陽の光の量を比べてみまし
 ょう。月はぴかぴかとよく反射するから、太陽が照らした光の大部分を反射
 していることでしょう・・・というは真っ赤な嘘。月は受けた太陽光のおよ
 そ6%程しか反射しません。我々は「満月はまぶしい」と思いがちですが、実
 は太陽光の1/20位しか反射していないのです。

 では地球はと言うと、これが大体30〜40% 。海の部分が多いところか陸地が
 多いか、雲が多いか、雪に覆われた部分が多く見えるか・・・と言った条件
 で違いは有るものの月の6%という反射能に比べると、格段によく太陽光を反
 射します。仮に 30%としても、それは月の約 5倍。気前がいいです。

 満月と満地球の面積と反射能がおよそ分かりましたから、満月を基準とした
 満地球の明るさが推定出来ます。それは、

  満地球の明るさ = 満月の明るさ × 16 × 5 = 満月の80倍!

 うーむ、明るい。

◇そして再び地球照
 二十六夜の月や三日月といった細い月の影の部分(地球で言えば夜に相当す
 る部分)から地球を眺めてみると、新月の時に眺めた満地球に近い、ほんの
 ちょっと欠けた地球が見えるはずです。

 このとき、月の夜の部分は満月よりずっと明るい地球に照らされている訳で
 すから、月面は「夜の散歩」に不自由がないくらい明るいはず。この地球に
 照らし出された月の明かりが地球照の正体なのです。

 言われてみればその名の通り、地球が照らすから「地球照」でした。

◇地球照はどれくらいまで見える?
 私の経験から言えば、普通肉眼ではっきりと分かるのは新月の前後4〜5日程
 度の範囲。空が大変くらい場所や双眼鏡などを使ってであれば半月近くまで
 その存在が分かります。

 見たことがないという方は、たとえば今日・明日の早朝、あるいは新月から
 2〜3日過ぎた三日月の頃、じっくりお月様を眺めてみてください。

◇地球照、英語で言えば?
  the old moon in the new moon's arms
 と言うそうです。
 新しい月の腕に抱かれた古い月とでも訳すのでしょうか?
 
 地球照に関してはWeb こよみのページの「暦と天文の雑学」中に
 
  『月を照らす地球の光・地球照(ちきゅうしょう)』
   http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0550.htm

 という解説記事がありますので、お読み頂ければ幸いです。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2006/12/15 号

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