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■二つの「冥王星の日」

 1/23は「冥王星の日」です。
 アメリカのローウェル天文台のクライド・トンボーは1930年のこの日及びそ
 の 6日後の1/29に撮影した写真から冥王星を発見しました。これを記念して
 1/23は冥王星の日とされました。

 とまあ、これはごく当たり前の解説ですが、「冥王星の日」はこの日の他に
 もう一日あります。それは2/18。

 なぜ「冥王星の日」が二日もあるのかですが、これは至極現実的な話であっ
 て、特別な何かがあったわけではありません。
 写真は撮ったけど、すぐに調べたわけでは無いと言うこと。ただそれだけ。

 ローウェル天文台と言う天文台は、パーシヴァル・ローウェルという人物が
 海王星の更に外側にあるだろうと天体力学的に予測された未知の惑星を探す
 目的で設立した天文台。冥王星発見の時点では既に創設者のローウェルは亡
 くなっていましたが、それでも冥王星発見がこの天文台のトンボーによって
 為されたのは、ローウェルの執念が生んだ幸運でしょうか。

 当時トンボーが行っていた未知の惑星捜索方法は、同じ区域の星空を数日お
 いて写真撮影してそれによって得られた二枚の写真を比較するというもので
 した。

 同じ区域の星空を撮影した写真ですから、写っている星はほとんど同じ。星
 座を形作る「恒星」と呼ばれる星は同じ位置に写ります。ところが惑星は位
 置を変えますから二枚の写真では異なる場所に写っているはず。そうした
 「移動した星」を探すわけです。
 こう書いてしまうと簡単そうですが、実際の作業は大変。写真にはそれこそ

  「星の数ほど、星が写っている」

 わけですから。写真には偶然写った流星や現像の際についた汚れなどなど、
 星以外のものも写り込んでいるわけですから、そうしたものも一つづつ候補
 から外して、本命を探すわけです。

 トンボーは典型的な「観測者」。観測命といった人物。こうした人は観測条
 件が良ければひたすら観測します。条件の良いときにせっせと観測し、条件
 が悪い日(例えば満月の時期とか、曇った日とか)に、溜まった観測結果を
 整理するというパターンになりがちです。

 たぶん、冥王星が写っていた写真についてもこんな具合で、撮影日と写真上
 で発見された日が 1ヶ月も違っていたのでしょう。1930年の月の様子を調べ
 てみると、撮影日の1/23は下弦の半月、写真上で発見された 2月は満月が2/
 13でしたから、この辺りでせっせと写真の読み取りを行ったのじゃないかと
 いう気がします。

 こうして発見された惑星は、冥界を司る神の名をとって「Pluto」 と名付け
 られました。太陽系の最深部で太陽の光すら届かない闇の世界をイメージし
 たのでしょう。和名となった冥王星は野尻抱影氏が提案したものです(ちな
 みに、中国でもこの「冥王星」を使っているそうです)。

 Pluto の略号は「PL」。Pluto の先頭の二文字ですが、同時にパーシヴァル
 ・ローウェルのイニシャルでもあります。この辺り、ローウェルへの敬意も
 込めたのでしょうか。

 ちなみにこうして太陽系第 9番目の惑星とされた冥王星ですが、発見当時は
 遠すぎて判らなかったその姿が徐々に明らかになって、皆さんの記憶にも新
 しい昨年の国際天文学連合の総会によって、「惑星」から「dwarf planet」
 へと分類変更されました。

 dwarf planetは矮小な惑星と言うほどの意味です(まだ正式な訳が決まって
 いないようです)。dwarf planetへの分類変更があったため、冥王星には

   小惑星番号134340

 という番号が与えられました。小惑星一覧に記載された「発見日」は1/23、
 つまり今日の「冥王星の日」の日付が採用されています。


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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/01/23 号

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