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■春立つ日
 本日は立春です。立春は

 『春の気たつを以て也(暦便覧)

 「この日から立夏の前日までが春。まだ寒さの厳しい時期ではあるが日脚は
  徐々に伸び、九州や太平洋側の暖かい地方では梅が咲き始める頃である。」』

 前段の言葉は、1788年に刊行された暦の解説書、「暦便覧」の立春の解説で
 す。二十四節気の内容を良く表しかつ端正な言葉であるため、愛用(?)さ
 せて頂いております。
 後段の言葉は解説的に私が勝手に付け足した文です。由緒も伝統も、ついで
 に格調もありません。

 旧暦は長くこの「立春」付近に年首(ねんしゅ)としておりましたので、そ
 れを使い続けてきた日本人の感覚には

  年の始め = 春の始め ・・・ 立春

 が定着しているようです。伝統行事も多くこれに合わせて作られています。
 旧暦の日次(ひなみ)は新月の日が一日となるように出来ていますので現実
 には立春と元日が一致する年は希です(最近で旧暦元日と立春が一致した年
 は1992年。その前は1954年。では次はと2032年まで調べてみましたが一度も
 ありませんでした)。

 とは言え、年首を立春近辺にするように作られた暦であることには変わりあ
 りません。

 いつ頃からそうなったのかというと、日本ではしっかりした暦が導入された
 瞬間(中国から暦が輸入された時)からそうでした。
 では本家では何時かと見ると、漢の時代(BC 206〜)の暦が「立春正月」と
 する暦で、それ以降は概ねこの方式によっています。
 伝説ではこの方式は「夏」の時代の方式だと言うことで、「夏正の暦」と言
 います。

 年首(正月)を何時にするかというのは、天文学的・暦学的に決まるもので
 は無く、どんな観点から暦を考えたかというその時代の価値観が反映された
 ものなので、立春の時期を年首と考えた夏正以外に、冬至を年首と考えた周
 正、両者の中間の時期を年首とした殷正などがあります(夏・殷・周いずれ
 も中国の古代王朝)。

 日本にはこの漢の時代から採用されるようになった「夏正」伝統に沿った暦
 が輸入されましたので、始めから夏正の暦でした。

 暦が輸入された頃には日本の主たる農作物が「米」となっていたでしょうか
 ら、この稲作を中心にした一年を考える上では、春を一年の始めと考える暦
 が便利であったと考えられますので、違和感なく使われ続けたものと考えら
 れます(実際の農作業には、閏月などあって不規則な旧暦はそのままでは使
 えないものだったので、節月(せつげつ)を使うなどの工夫をしています)。

 今年の立春は旧暦ではまだ「古い年」ですが、ともあれ季節としては春の始
 まり。四季がまた巡り始める日ということが出来るでしょう。
 今年もまた、四季折々、楽しい日々が送れますように。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/02/04 号

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