こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■紀元2667年?
 明日は、建国記念の日。戦前は紀元節(きげんせつ)と呼ばれていました。
 この日付は日本書紀の神武天皇即位の日の記述、

  「辛酉年の春正月の庚辰の朔に天皇橿原宮において帝位に即く」

 を現在の太陽暦に変換すると紀元前 660年 2月11日に当たるとして、この日
 を日本という国が形づくられた記念の日としようと考えた結果です。
 この日が正しいとか正しくないとか、これを以て建国を記念する日とするの
 はいかがかという議論はさておいて、今回はこの年から数え始めた年数につ
 いてです。


◇紀元とは
 「紀元」とは広義には年数を数え始める基点のこと。
 例えば西暦でも紀元前(BC)とか、紀元後(AD)と使います。これも伝説(?)
 上のキリスト誕生の年から数えた年数という意味で使われています。

 日本においては、前述した神武天皇即位の日から年数を数え始めと考えてこ
 の年から数えた年を「紀元○×年」と称します。前記の西暦紀元と混同する
 ことがないようにと言う場合は、「皇紀」とすることもあります。


◇「紀元」はまだ使われている?
 今年は、紀元2667年です。
 今時、紀元だとか皇紀だとかもないものだと思われるかもしれません。
 日本の暦の元となる暦象年表にも書かれていません。

 ですがまだ日本の暦を作る上で「紀元」が根拠になっているものが一つだけ
 あります。
 次の条文をご覧下さい。

  明治三十一年勅令第九十号
 (閏年ニ関スル件・明治三十一年五月十一日勅令第九十号)

  神武天皇即位紀元年数ノ四ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス
  但シ紀元年数ヨリ六百六十ヲ減シテ百ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ
  四ヲ以テ商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス
 
 なんだか難しそうな条文ですが、これが日本における「閏年」算定の根拠と
 なる法律です。もうちょっと分かりやすく書くと、

  1.神武天皇即位紀元年数を 4で割って、割り切れる年を閏年とする。
  2.ただし1であっても紀元から660を引いた数を100で割って割り切れる
    年で、かつその結果が 4で割り切れない年は平年とする。

 例えば今年を考えると、紀元2667年で 4で割り切れませんから閏年ではあり
 ません。
 少し前ですが平成12年は紀元2660年でしたから、 660を引くと2000。これは
  100で割り切れ、答えは20。でもこの20は 4で割り切れるので、閏年となり
 ます。

 まあ本当は、単にグレゴリウス暦の閏年の算定方法を無理矢理紀元に適応さ
 せたものなのですが、西暦を使わず何とか閏年を求める方法としてこれを考
 えたのでしょうね。

 法律は明治31年のものですから大変古く、今ならおそらく西暦を使っても誰
 も文句を言うことはないと思うのですが、法律を直すのは大変だからでしょ
 うか、特に困っていないからでしょうか、この法律が今以て日本の閏年を決
 めるための根拠法となっています。
 と言うわけで、古いと言われようと何だろうと、細々ながら

  神武天皇即位紀元

 は生き続けているのです。
 そして今年は、「紀元2667年」でした。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/02/10 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック