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■地球温暖化を旧暦は予言している? ・・・ その1
 「旧暦は日本に季節によくあった暦である」

 と主張する方は多く、たびたびそんな話をされて閉口します。
 確かに現在使われている新暦(グレゴリウス暦)の年首(年の始まり)の時
 期には天文学的・暦学的な意味はなく、日本の四季の区切りとも当然(?)
 一致していませんから、その点を問題にするのはわかるのです。

 しかし新暦は季節の循環である「1年」を正確に表し、毎年同じ季節に同じ
 日付が巡ってくるという点では旧暦よりずっと優れた暦なのです。
 「旧暦礼賛」の方々には、こうした話はなかなか通じません。

 本屋さんでよく見かける「旧暦・・・」という本の中にも、「旧暦こそ日本
 の季節に合致した暦」という観点から書かれた本が多く、皮肉なことにそう
 した本の方がきちんとした暦法の説明を行っている本より売れ行きは好調な
 ようです。ちょっと困った現象ですね。

 私から見ると「ちょっと困った本」の中には驚いたことに現在問題にされて
 いる地球温暖化現象を「旧暦は予言している」ということを書いた本があり
 ます。ここまで来るとちょっと困ったを通り越した暴論・妄論。旧暦への誤
 解を生むだけの話です。

 「私が読んだ本の範囲」でその暴論のもととなった本はK氏の書かれた本の
 ようです。他の本はK氏の本を参考にしているようです。
 K氏の本には紀元後〜21世紀までの間の閏月が何月に何回入っているかをま
 とめた表、「閏月配置表」が掲げられています。

 K氏の主張は、19世紀〜21世紀の閏月が夏の時期に集中し、冬には全くと言
 って良いほど入っていない事が

  地球温暖化を旧暦が予言した結果だ

 と言うものです。夏の時期に閏月が多いのはそれだけ「夏が長い」ことを意
 味するという考えです。

 この表をせっせと作ってくださったK氏の努力はたいしたものだと思います。
 また表示自体には間違いは無いようですのでその表から1〜18世紀と19〜21
 世紀の閏月挿入の全体に対する割合を読み取ってみる事にします。

  春(1〜3月): 25.4% と 25.1%
  夏(4〜6月): 25.7% と 49.1%
  秋(7〜9月): 25.0% と 21.4%
  冬(10〜12月): 24.1% と  4.7%

 前の%が1〜18世紀のもの。後の%が19〜21世紀までものです。()内の月
 は旧暦の暦月。どちらも合計が100%とならないのですが、これは0.1%でまで
 に四捨五入した結果ですので大目に見てください。

 %の計算の分母になるそれぞれの期間の閏月の数は662と108ですから、上の
 数値は統計的な揺らぎで偶然発生するようなものではありません。

 確かにこの結果を見ると「一目瞭然」で18世紀までは各季節が平均的に 25%
 前後であったのに、19世紀以降は圧倒的に夏の閏月が増えて、冬の閏月が減
 っています。

 あらら、K氏の主張通りだ! 旧暦はずっと昔から現代の温暖化を予言して
 いたのだった・・・なんて。でも残念ながらこの数字の変化は温暖化が起こ
 ることを予言した結果ではないのです。理由は別のところ、そう「旧暦の計
 算方法」自体にあるのです。

 連続ドラマの王道パターンとして、話が佳境に入り、いよいよ謎解きにと言
 う場面になると画面には、

  つづく・・・

 という文字が。そして本日のこぼれ話のタイトルに「その1」という文字が
 有ったことで判るとおり本日の話はここまで。そして

  次回につづく。

 ということに致します。次回に続いている間に皆さんもこの謎を考えてみて
 ください。
 ではまた明日。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/03/10 号

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