こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■今日は「八十八夜」
 実際には茶摘みの風景など見たこともないのに、

  「夏も近づく八十八夜・・・」

 という歌を子供の頃から唱っていたためか、八十八夜と聞くとつい、姉さん
 かぶりの茶摘み娘がお茶の葉を摘む姿が目に浮かびます。しかも、バックは
 青空を背景とした富士山。
 きっと、TVドラマの水戸黄門のエンディングか何かで見た映像でしょうね。

◇八十八夜とは
 この八十八夜は暦の上では「雑節(ざっせつ)」と呼ばれるものの一つです。
 日本で使っている暦は古くは中国から、明治以後は西洋から輸入されたもの
 がもとになっていますから、暦に書き込まれる様々な情報の多くは、

  舶来もの

 なのですが、この雑節といわれるものはそのほとんどが、国産品です。
 八十八夜に関しても、日本独特の記述で中国などの暦には見られません。

 八十八夜は、昔は稲作の始まりの時期の目安であり、また最後の遅霜の目安
 でもありました。どちらの意味においても農業の上では重要な節目となる日
 ですから、これを忘れないようにと暦に取り入れられたものです。
 暦の暦日と実際の季節とを結びつけるための季節点(季節の目印)の一つで
 す。


◇八十八夜は太陽暦?
 八十八夜は、立春の日から数えて88日目。
 今年の立春は 2/4ですから、八十八夜は本日、 5/2です。
 このメールマガジンの読者の方には既に常識だと思いますが、この八十八夜
 の計算の基点となる「立春」は太陽の位置で決まります(太陽の中心の黄経
 が 315°となる日)。

 基点となる立春が太陽の位置で決まり、あとは一定の日数(87日)だけ離れ
 た日が、八十八夜になりますから、八十八夜も太陽の位置で決まってしまい
 ます。大体太陽の視黄経が41°あたりになります。
 新暦では、 5/1か 5/2あたりが毎年八十八夜になります。

 新暦では毎年ほとんど同じ日付になってしまうため、立春からの日数をわざ
 わざ数えなくとも、 5月にはいると、その日かその翌日が八十八夜。
 わざわざ数えるまでもなくなったため、暦に特記する必要もなくなり、その
 存在感は薄らいでしまったようですね。

 なお、八十八夜の基準となる立春と同じく、暦の上での夏の始まりである立
 夏の日付も太陽の位置で決まっています。よって、八十八夜と立夏の関係も
 新暦(太陽暦)では大体いつも同じ。
 八十八夜の4〜5日後当たりが立夏となります。

 夏も近づく八十八夜。まさにそのとおりですね。


◇八十八夜と茶摘み
 茶は、中国の西南部が原産地だとされています。もともとは「薬」として輸
 入され、平安時代には宮中ですでにお茶が飲まれていたそうです。もちろん
 当時は薬効のある飲み物として。
 (暦とは無関係ですが、紅茶も緑茶も基本的には同じお茶の木の葉。そこか
 らの製法、発酵の度合いの違いだそうです)

 現在のような喫茶の習慣が定着したのは鎌倉時代から。僧の栄西が中国から
 抹茶を持ち帰り、これを飲むことが寺院を中心に広がり、やがて武士などに
 も広がっていったものです。

 ただこの辺まではまだ「お茶を飲む」のにも手間がかかっていましたから、
 それこそ「日常茶飯事」というくらい手軽にお茶を楽しめるようになったの
 は、江戸時代の初め頃に煎茶の製法が確立されたからとか。

 こうして上は殿上人から我々庶民までみんなが楽しむようになってお茶の栽
 培も盛んになりました。今では鹿児島から新潟まで広い範囲でお茶が栽培さ
 れているそうです。我が家の裏の山(?)にも昔は栽培されていただろう野
 生化したお茶の木が生えています。

 八十八夜の頃に摘まれたお茶のはで入れたお茶は特に甘く上等であるといわ
 れたことから、この日に茶摘みを行うという行事も生まれたようです。
 また、この日に摘まれた新茶は贈答品としても喜ばれました。

 ただし先に書いたとおりお茶は鹿児島から新潟までと広い範囲で栽培されて
 いますから、どこでも彼処でも八十八夜のお茶がよいわけでは有りません。
 それぞれの地域にあった「旬のお茶」を楽しむのが一番です。


 本日はこの八十八夜の話、午後のお茶の時間の話題にでもして頂けると嬉し
 いです。お茶の時間には、旬の八十八夜の話ですね。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/05/02 号

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