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■竹笋生ず (七十二候の一つ)
 「竹笋生ず」は「ちくじゅんしょうず」あるいは「たけのこしょうず」と読
  みます。「笋」は「筍」の異字体です。
 「竹笋生ず」は二十四節気、立夏の末候。七十二候全体としては21番目の言
 葉です。清々しい初夏の頃の言葉です。

 暦のこぼれ話でこの前に七十二候を採り上げたのは、直前の「みみず出ずる」
 でした。「みみず出ずる」の時には、この言葉は中国から七十二候が輸入さ
 れた時のままの言葉とかきましたが、今回の「竹笋生ず」は、日本に来てか
 ら作られた言葉です。


◇王瓜生(おうかしょうず)
 七十二候が日本に輸入された時、立夏の末候にあったのはこの言葉。
 「王瓜」とはカラスウリのことだといいます。
 中国では、この根、種子とも薬として用いるそうです。

 中国の周の時代に成立したという礼記(らいき)、月令(がつりょう)には、
 「王瓜生ひ、苦菜秀づ」という一文がありますから、古くからなじみのある
 植物だったようです。

 日本でも秋になると、黄色や赤に色づいた実がなりますから目立つのですが、
 実をつけるまではあまり目を引く植物ではありません。

 花はちょっと変わった形の白い花で、夏の頃に咲きますから、そこから考え
 ると今頃の時期に芽が出て、成長して行くのだろうと予想はつきます。
 とすれば、日本でも「王瓜生」でもよさそうでしたね。


◇日本ではタケノコ
 七十二候の言葉には沢山の動植物の名が入っているのですが、日本には無い
 植物などもあって、そのため内容は大きく「日本化」されて行きました。
 ところが、カラスウリは日本でもさほど珍しく無い植物ですから、なぜこれ
 がタケノコに変わってしまったのかはよく解りません。

 ですが、七十二候が輸入されてから間もなく、「王瓜」は「竹笋」に置き換
 えられていました。
 日本では、王瓜が中国ほど利用されず、それだからなじみの薄い植物だった
 のかもしれませんが、それ以上に初夏の食材として「タケノコ」が重要な植
 物だったのか。

 どうして切り替わってしまったのかははっきりしませんが、現代でも、タケ
 ノコの生え出す季節といえば、ああそんな時期かと判りますが、カラスウリ
 が生え出す時期ですといわれてもなかなかピントは来ませんから、カラスウ
 リをタケノコに置き換えたのは、成功と言えるように思います。


 現在住んでいるところは、比較的温暖な地方ですからタケノコは既に、立派
 な竹になりつつあり、「生ず」という段階ではありませんが、生まれ故郷の
 東北南部辺りでは、今がタケノコの旬でしょう。
 関東以北では、「今晩のおかずにたけのこ」という方もいらっしゃるかも?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/05/16 号

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