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■今年は「金豚年」・その2
 今年は中国や韓国では60年に一度の「金豚年(金猪年)」といい、大変目出
 度い年として、結婚ラッシュ、出産ラッシュのが起こっているという話から
 スタートしたこの話ですが、昨日は暦の話としてこの金の豚を考えてみて行
 き詰まったところで終了しました。
 さて、本日はその行き詰まりを打破出来るでしょうか?

◇「金の豚」は暦とは関係ない?
 「60年に一度の金豚年」といえば、六十干支と関係あるだろうとまず考えて
 今年を考えると、六十干支では「丁亥」。「亥年」ですから「豚年」である
 ことは間違いありませんが、「丁」が金を表すかというと、五行では丁は火
 気であって、この辺りからは読み解けないという話をしました。
 暦の話としては行き詰まってしまったわけです。

 さて、困ったことにと思ったところに、金豚年の謎に答えてくれる一つの説
 がありました。その説によれば金豚年の由来は暦ではなくて、歴史にあると
 いうものです。
 その説によれば、

   金豚年は、唐の貞観元年(AD 627、丁亥の年)に由来する

 というものでした。
 唐の貞観(じょうがん)年間(AD 627〜 649)といえば、「貞観の治」とい
 う言葉で今も知られる、中国4000年の歴史の中でもっとも良く国内が治まっ
 た時代だと言われています。

 国内が良く治まり、好景気が続き、また前王朝隋に乱造された質の悪い隋銭
 を廃止して秦・漢時代にもどり厳密な重量制による貨幣体制も出来ました。
 長い間群雄割拠の不安定な時代が続いた後のこの安定した好景気の時代は人
 々には大変幸せな時代と感じられたことでしょう。
 この幸せな時代の始まりは、貞観元年、丁亥の年だったのです。

 またこの時代の貨幣は先に述べたとおり厳密な従量制の下に鋳造されました。
 江戸時代の通過にも使われた単位「両」や「銖(朱)」などはこの重量を表
 す単位から転じて貨幣の単位となったものです。

 その基本となる「開元通宝」の重さは 2.4銖。
 この銖は宝玉を表す「珠」と同じ発音であることから宝物、貴重なものとい
 う連想も生んだようです。そしてこの「銖」「珠」は「猪」とも同じ発音、
 「zhu」 なのだそうです。

   1.「幸福な時代」と同義語とも言える貞観年間は「丁亥の年」
   2.「猪」はお金や宝玉を表す「銖」「珠」を連想させる

 ということから、「丁亥」の年は幸運の年ということになったのだというの
 です。

 この「金猪年は貞観元年発生説」は中国の歴史学者・王志中氏(山西大学人
 文社会科学院副院長)がネット上で行った解説によります。といいましても
 私は中国語が全くチンプンカンプン。よって今回のネタ元はネット新聞 JAN
 JAN に劉肇新さんが投稿している日本語で要約記事、

  暦のはなし〜「金猪年」の謎がとけた?
  http://www.janjan.jp/world/0702/0702129891/1.php

 です。王志中氏の文についてはこの要約と、氏の文を中日自動翻訳したもの
 とを並べて見比べて、なるほどなるほどと頷きました。
 氏の文には、「金猪年」は本来は「金銖年」とされていたという記述があり、
 そうだったのかと納得。

 語源の問題ですのでもちろんこれで確定と言い切ることは出来ない部分もあ
 りますが、どうしても判らなかったこの「金豚年」の謎についてのいい手が
 かりであることは間違いなさそうです。


 何はともあれ、今年は60年に一度の目出度い日だとか。
 きっと良いことがあると考えて、残り半年を楽しく暮らして行きましょう。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/06/16 号

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