こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■暦の始まりは十一月?
 本日より十一月。
 一年綴りのカレンダーも大分薄っぺらくなってきましたね。
 こう薄くなってくるとそろそろ来年の暦を準備しないといけないなと思うよ
 うになります。

 こよみのページを作っているものとしては、情けないですが自前のカレンダ
 ーを作っているわけではないので、この時期になると私もごく普通にカレン
 ダーを買うことになります。と言うことで、インターネット書店、アマゾン
 にカレンダーを注文しました。
 今年はこんなものです → http://astore.amazon.co.jp/koyomi8com-22


◇日本の暦は十一月から?
 「日本の暦は十一月から計算を始める」
 何て言ったら、どう思いますか?

 実はこれは、俗に旧暦と言われる明治初期まで使われた太陰太陽暦の計算の
 手順です。
 旧暦では月の区切りは太陰(たいいん)つまり月の満ち欠けによって決まり
 ますので、この点は明確。ところが、その区切られた一月、一月がいったい
 何月になるかはこの時点では決まっていません。

 では何で決まるかというと、二十四節気(元々は、「二十四気」と呼んでい
 たものですが、現在は二十四節気と呼ばれるようになっています)によるの
 です。二十四節気には節と中が交互に並んでいるのですが、そのうちの「中」
 によって月の名前が決定されます。
 例えば、「雨水」は正月中と呼ばれ、雨水が含まれる月が一月(正月)とな
 るのです。

 さて、旧暦を計算する一番最初にすることは、暦を作りたい年の直前の冬至
 の日付を求めることです。
 冬至は二十四節気の一つ、「十一月中」ですから、これがが決まるとその月
 を「十一月」としてそこから順番に二十四節気の中を見ながら月名を当ては
 めて行きます。この作業を続けて一年分の暦月を決定して暦が出来上がりま
 す。

 暦の月の始まりは勿論一月(正月)すが、計算がその前の十一月から始まる
 のは暦が元々「天体の観測」に基づいて作られていた名残です。
 現代の優れた観測機器などない大昔でも、毎年太陽がいちばん南に動く(北
 半球ではつまり、太陽の南中高度が一番低くなる)日というのは、わかりや
 すい変化でしたから、これを測って(多分、棒を立ててその影の長さを測っ
 て)一年の区切りにしたのですね。

 何百年ものそうした観測の積み重ねから、やがては観測しなくても計算だけ
 で暦が作れるようになっても、観測をしていた当時の慣習が踏襲されて、ま
 ず冬至を求めることから計算を始めていたわけです。

 「日本の暦は十一月から?」
 と書きましたが、これは日本に限ったことではなく、お手本の中国の暦がそ
 うですから、中国の暦の影響を受けた東アジアの古い暦はほとんどが、11月
 から計算が始められていたわけです。


◇頒暦の解禁日だった十一月一日
 暦の始まりが十一月だったのは、計算だけではありませんでした。
 この旧暦時代は、翌年の暦の頒暦の解禁日が十一月の一日でした。
 この日、宮中では新しい年の暦を天皇陛下に奏上する御暦奏(ごりゃくのそ
 う)が行われ、これが済んで後、官庁や民間での頒暦が始まりました。
 庶民にとっても十一月一日は新しい年の暦の始まりの日だったわけです。


 現在の暦は、日付だけで組み立てられるので、いつでも作れるものとなりま
 したからこうした慣習は廃れてしまいましたが、それでも今年も残すところ
 二ヶ月、ぼちぼち翌年のカレンダーを用意しておきたい時期ですね。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2007/11/01 号

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