こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■世界暦
 現在私たちが使っている暦(グレゴリオ暦)にはおかしな点がいくつかあり
 ます。

   2月だけなぜ日数が少ないんだろう
  月も大の月と小の月の並びが一様でない
  毎年日付と曜日の関係が変わる

 等々。なんだか変だと思った人は大勢いると思います。

 こうした月の日数の不調和が生まれた過去の経緯については今まで何度かこ
 のこぼれ話でも取り上げてきました。
 今回の話はこれとは違って、こうしたアンバランスを解消して、合理的な暦
 を作ろうとして提唱された世界暦の話です。

◇グレゴリオ暦の問題点
 現在広く使われているグレゴリオ暦は、季節の移り変わりの周期である 1
 年の長さを正確に表すという点では優れていますが、歴史的な様々な出来事
 の影響で、月毎の日数がバラバラだったり、その並びも合理的とは思えませ
 ん。そのおかげで、一年を上半期・下半期に分けたり月毎に分けたりして様
 々な統計的な分析をしようなどとすると日数の違いがあって不便を被ります。

 毎年毎年、日付と曜日が一致しないという点も不便と言えば不便。
 もし年毎に曜日が変化しないとしたら、カレンダーなんて 1枚有ればずっと
 使えるのに・・・
 (ただし、こうなってしまうとカレンダー屋さんと、こよみのページは困り
 ますかね?)

◇世界暦を作ろう
 前述したようなグレゴリオ暦の不合理な点を改めて、「合理的な暦」を作ろ
 うと考えた人は沢山いました。それこそ一人や二人ではありません。
 そうして考えられた暦の中には実際に施行された暦もあります。

 例えば、十八世紀末のフランス革命後に生まれたフランス革命暦(またはフ
 ランス共和暦とも)のように暦からキリスト教的な要素を払拭し、十進法に
 あうような非常に独創的な暦が有ります。
 他には旧ソ連時代に 7日 1週の制度を廃止し、 5日周期を取り入れた暦など
 が有ります。

 何れも、グレゴリオ暦の欠点のいくつか、またはほとんど全部を改良した暦
 であったのですが、一国だけが他の国々と全く違った暦を使うということは、
 国家間の行き来が盛んな場所や時代では、どんなに暦の合理性を訴えても、
 それに勝る不便さが有るため、結局は短命な暦に終わってしまいました。
 暦の合理性だけでは暦は長続き出来ないとしたら、合理的な暦を広めるには
 どうすればいいか? その答えは、

  みんな一斉にやればいいんだ

 ということになりそうです。
 そしてこの合理的な暦は「世界暦」と呼ばれるようになって、この話し合い
 の場は国際機関で行われるようになりました。そしてその場は、第一次世界
 大戦後に生まれた、国際連盟でした。

◇「世界暦」はどんな暦?
 国際連盟に提出された世界暦の案は、A,B,Cの三案でしたが、その中で
 もっとも有力と考えられたのはB案。この案は、

  1.一、四、七、十月の日数を31日、他の月は30日とする。
  2.一年の最後に、週に含めない「週外日」 1日を置き、この日は世界休日
   とする。
  3.閏年には、六月の最後に 2と同様の週外日 1日を置く。
  4.一月一日を日曜日にする。

 と言うものです。これだと、 3ヵ月毎の日数は91日、13週で常に一定となり、
  3ヵ月毎の区切りの最初の日は常に日曜日になります。そして毎年これが繰
 り返されるだけですから、 3ヵ月分のカレンダーを作ってしまえば、あとは
 未来永劫そのカレンダーが使い続けられるというわけです。
 何と合理的ではありませんか。

◇「世界暦」のその後
 世界暦の案が国際連盟の特別委員会に提出されたのは1930年のこと。それか
 ら既に78年。しかし世界暦への改暦は、未だ実現していません。

 第二次世界大戦後、国際連盟の後を継いだ国際連合にもこの改暦問題は持ち
 越され、その経済社会理事会で議論されましたが、結局棚上げになってしま
 ったまま現在に至っています。

 棚上げになってしまった理由は、世界暦を採用することによる利点が、果た
 してどれほどのものなのか正確に把握出来ないことや、週が不連続になると
 言うことに対する宗教的な反発などがあると言われますが、それより改暦す
 ることによって引き起こされる混乱のマイナス効果が、改暦によるプラスの
 効果より大きいのではという不安が有るように思えます。

 現在使われているグレゴリオ暦は、確かにいろいろと欠点の有る暦ですが、
 それが実生活上で

  耐えられないほどのひどい

 ものだとは思えませんから、どうもこれからも「世界暦」が本当に世界中で
 使われる暦になることは無さそうに思えます。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/02/27 号

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