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■イランの暦
 本日は、隅掘り隊隊員astroさんから頂いたメールから。

 > ところで先日教えていただいたビジュラ暦は完全太陰暦でしたが
 > 同じイスラム暦にイラン暦がありますね・・・
 > こちらは毎年春分の日前後が一年の始まりになっていましたが革命後は
 > よく判りません。
 > (40年近く前に3年ほど滞在していました。)

 ということで、イランの暦について取り上げてみます。

◇イランの二つの暦
 以前書いたとおり、イスラム圏の国々の多くは宗教行事などは純粋太陰暦で
 あるヒジュラ遷都暦というものを使います。イランにおいてもこの点は同じ
 です。

 日本の旧暦を含め多くの太陰暦が、閏月という一年の長さを調整する手段を
 導入して、暦と季節の一致を図って太陰太陽暦となっていったのに対して、
 この宗教的なイスラム暦は、季節とのつながりを断ち切っています。
 太陽暦は、農耕を生活の基盤とする社会では必要不可欠な暦ですが、遊牧な
 どが主な生活基盤であるような場合なら、純粋太陰暦でも問題が少ないので
 はないでしょうか。

 さて、とはいいながらイスラムの国々でも次第に定住して農耕するという生
 活スタイル広がってくると、やはり季節変化を表せる暦が必要になります。
 こうしてイランで生まれたのが「ジャラリー暦」と呼ばれる太陽暦です。

 現在のイランでは、日常の生活はこのジャラリー暦を原型とした太陽暦(一
 般的にこれを「イラン暦」と呼びます)で、宗教的な行事はヒジュラ暦でと
 いう使い分けをしているようです。

◇ジャラリー暦
 ジャラリー暦は、セルジューク朝の英明な君主、マリク・シャー(在位期間
 1072〜92年)が作らせた暦です。ジャラリー暦の名は、マリク・シャーの称
 号「ジャラール・ウッ・ダウラ(国家の栄光)」に由来します。

 ジャラリー暦の特徴は、太陽が黄道十二宮の白羊宮に達した日を新年とする
 暦です。白羊宮は「春分点」に始まる星宮ですから、ジャラリー暦の年初は
 太陽が春分を通過する日となります。
 現在私たちが使っている新暦(グレゴリウス暦)の問題点としてよく挙げら
 れるのが、「年初に意味がない」と言うこと。この点ではジャラリー暦に分
 が有るようです。

 ジャラリー暦の面白い点は、大の月と小の月の並びにあります。
 グレゴリウス暦などでは、大の月と小の月は概ね交互に現れるのですが、ジ
 ャラリー暦は、

  年の前半 1〜 6月まで ・・・ずーっと大の月(31日)
  年の後半 7〜12月まで ・・・ずーっと小の月(30日)。ただし閏年以外
                は、12月は29日とする。

 そういうもの。また閏年は 128年に31回入ります。閏年の入る回数は、現在
 のグレゴリウス暦と同じです。
 ちなみに、このイラン暦はイスラム教の国の暦ですから、休日(安息日)は
 金曜日となっています。

 太陽暦と言えば、即グレゴリウス暦とついつい思いがちですが、世界にはい
 ろいろな暦が有ると言うことですね。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/03/04 号

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