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■佐久間艇長殉職の日
 佐久間艇長殉職の日といっても、何の事かと思われる方も多いと思います。
 というか、多分大部分の方が何の事と思うのでは。

 今日の記念日に、「佐久間艇長殉職の日」なんて書き加えたのは実は私です。
 明治43年の 4月15日に起きた事故なので、歴史的な事実ですからおかしなこ
 とはないと思います。思い出して、或いは知って頂きたい話でしたので、今
 日は何の日データに加えております。

 この事故は、第六号潜水艇という国産第一号の潜水艇がその訓練中に瀬戸内
 海で沈没したというもの。瀬戸内海は浅い海ですから、そこで沈没したから
 といって助からないとは・・・と今なら言える事ですが当時としては十メー
 トルも沈んでしまえば救助の方法もなく、結局は全員死亡。
 引き上げられたのは二日後の 4月17日でした。

 潜水艦の事故の場合、乗組員は出口ハッチなどに殺到し、折り重なって死ん
 でいるといった悲惨な状態が普通だそうですが、引き上げられた第六号潜水
 艇では、それぞれが持ち場に着いた状態のまま息絶えていたということ、引
 き上げられた遺品の中から佐久間艇長が死の間際まで状況を冷静に記録した
 手帳が発見されたことなどから他に類を見ない事故事例として注目されるも
 のとなりました。

 佐久間艇長の手帳には、暗闇の中で手探りで書いたと思われる大きな文字で、
 事故が起こった原因や、この事故を教訓として改良しなければならない潜水
 艇の問題点、艇内で死ぬことになる乗組員の遺族に対する配慮を上官らに願
 う文面等が綴られていました。

 この佐久間艇長の手帳は、最後の瞬間まで職務を全うした海軍軍人の記録と
 して、その原文と英訳とが米国の国会議事堂大広間に展示されているそうで
 す。また、伝統的な海軍国として知られる英国でも海軍教育の中でこの事故
 について教えられているとのこと。
 かつてこんな人たちがいたのだと言うことを、同じ国に生まれた私たちが、
 もう一度思い出してもよいのではないでしょうか。

 佐久間艇長のこの手帳の全文は、

 佐久間艇長の遺書 ・・・ TBS ブリタニカ編集部編
( http://www.amazon.co.jp/gp/product/4484012014?tag=koyomi8com-22 )

 として平成12年に再び出版されましたので、今でも手に入れる事ができると
 思います。
 手帳の最後は、

  瓦素林(ガソリン)ヲブローアウトセシシ積リナレドモ、
  ガソソリンニヨウタ
   一、中野大佐
   十二時四十分ナリ

 で終わっていたそうです(誤字脱字等、原文のまま)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/04/15 号

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