こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■閏年、閏日、閏秒に閏分?
 なにかいい話題無いかなと思っていたところに、隅掘り隊いたち隊員からつ
 ぎのような「疑問」が寄せられましたので、これ幸いと取り上げさせて頂き
 ます。

 -------いたち隊員からのメール--------
 今年はオリンピックの年、すなわち「うるう年」です。
 うるう年は一日増えるので365日が366日になります。
 すなわち。「今年はうるう年ですよ」と言う説明は「今年はいつもの年とは
 違って1日多い年ですよ。今年は2月が1日多い年ですよ」ということです。

 それならば時々ある、59・60・0・1とすすむ分。
 「この分はいつもと違って1秒多い分ですよ」すなわち「うるう分」と呼ぶ
 べきではないでしょうか。
 それなのにニュースなどでは「うるう秒」といいます。

 一秒増えて「うるう秒」ならば、一日増えたのなら「うるう日」と呼ぶので
 はないかと
 またはいつもより一日多い年を「うるう年」と呼ぶのならいつもより1秒多
 い分は「うるう分」ではないだろうか。
  (中略)
 「うるう年」「うるう日」「うるう分」「うるう秒」どのように使い分ける
 のでしょう?
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 説明を始める前に、私の打ちやすさと文字数削減のため「閏(うるう)」の
 文字を使わせてください。では始まり始まり。

◇閏日、閏秒
 今年は普通の年にはない2/29という日付がありました。
 こうした暦法上現れる臨時の日を「閏日」と呼びます。
 現在のこよみでは臨時に現れるのがこの2/29という一日なので閏日ですが、
 太陰太陽暦であった旧暦時代ですと閏として挿入されるのは一月単位でした
 のでこの場合は、閏月(うるうづき)と呼ばれました。

 閏秒は地球自転の速度変動によって一日の長さが現在の定義上の一日の長さ
 とずれて、そのずれの累積が 1秒に近くなった場合に挿入または除去される
 「秒」のことです。

 閏日は現在の暦法上から考えると「臨時に1日を追加」する方向だけですが、
 閏秒に関しては挿入されるばかりではなく、除去されることもあります(と
 いいながら、閏秒の制度が出来て以来除去された例はありませんが)。

 どちらも、追加挿入(あるいは除去)される「日」や「秒」そのものを指し
 て「閏日」「閏秒」といいます。


◇閏年
 つぎに、閏年です。閏年の説明に入る前にちょっとひと言。

 ちょっとひと言は、オリンピックの年と閏年の関係。
 両者はどちらも 4年に一度ということで一致しますが、オリンピックがある
 年が閏年と決められているわけではありませんし、現在使われている暦では、
 閏年は 4年に一度必ずあるわけでもないので

  誤:オリンピックの年 = 閏年
  正:オリンピックの年 ≒ 閏年

 というべきでしょうね。
 さて寄り道しましたが、ここからは閏年の話ですが、閏年とは何かといえば、

  閏年 : 閏日(または閏月)があった年

 という意味です。
 元々暦法上の閏日や閏月(太陰太陽暦に見られるもの)とは暦法上の一年の
 長さを、実際の天体の動きの周期における「一年」に近づけるために調整用
 に設けられたものです。

 いたちさんの疑問を読むと、閏日と閏年の関係が数字の桁上がりの様に捉え
 られているようですがあくまでも

  臨時の暦の調整が為された年 = 閏年

 であって、暦法上の臨時の調整が一日でも、一月でもよいのです。
 2/29という閏日にしても「日」より一つ長い暦の単位「月」の長さを補正す
 るために設けたものではないので、2/29が入った 2月を閏月(閏日の入った
 月)とはいいません。あくまでも閏日は一年の長さを調整するために挿入し
 たものです。

◇閏秒
 閏秒が入った「分」を閏分ということはありません。
 これは、閏日と閏年の関係と同じで、閏秒は「分」の長さを調整しようとす
 るものではなくて、年の長さを調整するためのものなので閏分ということは
 ないのです。

 もし「閏分」という言葉が出来るとしたら、一年の長さを調整するために分
 単位の挿入や除去が行われた場合でしょう。ちなみに、「閏秒」方式では煩
 雑なので調整単位を「分」或いは「時」にして「閏分」などで調整してはと
 いった提案が為されています(まだ採用はされていませんが)。わたしは、
 この「閏分案」に賛成です。


◇閏日と閏秒の違い
 閏日も閏秒もどちらも一年の長さの調整に用いられるものですが両者には違
 いがあります。それは、

  閏日は最初から考えられていたもの
  閏秒は後からずれに気が付いて仕方なく取り入れたもの

 ということです。どう違うかというと、現在の暦では一年は 365.2422日と
 考えられていますが、0.2422日という一日より短い端数があることは最初か
 らわかっていて、これを端数を使わない「一日単位」の調整で何とか表現し
 ようと考えた結果

  暦を使い始めた最初から何年かに一度入れることが決められていた日

 です。想定済み、織り込み済みの「閏」なのです。
 ところが「閏秒」はそうではなく、一年は365.2422日といったとき、変わら
 ない長さと思って単位に使った「一日」の長さが実は変化するのだと後から
 分かったため、仕方なく後追いで作った仕組みです。

 一日の長さが変化するその変化量については今もって正確に理論的に予測す
 ることが出来ないので、閏秒に関しては閏日のようにずっと先までその挿入
 の予定を決めることが出来ません。

  実際に一日の長さの変化を測ってみるまでわからない

 というのが閏秒です。
 閏日は、2012年にも2016年にも入ることがわかりますが、次の閏秒がいつ挿
 入(あるいは除去)されるのかはまだわかりません。


 最後は、いたちさんからの質問とはちょっとずれてしまいましたが、いかが
 でしょうか? 閏年、閏日、閏秒の関係が判ってもらえましたか?


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/05/09 号

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