こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■月の上で働く男
 今日は満月。昨日の晩、丸くなったお月様を見ながら思いだした話がありま
 したので、今日はこの話を書いてみます。

◇史上初の月の上で働く男
 記録に残る月の上で働く男第一号は、アポロ11号で降り立ったニール・アー
 ムストロング船長です。1969/07/20に月面から彼が地球に送った、

  " That's one small step for a man, one giant leap for mankind. "
 (一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ)

 ということばはあまりにも有名。ちなみにアームストロング船長の後に月に
 降り立ち、月の上で働く男第二号になったエドウィン・オルドリン飛行士が
 なんといったのか私は知りません。月面に足跡を残したのが一歩目だったか
 否か、オルドリン飛行士からすればその一歩の差は一人の人間にとってもか
 なり大きな違いだったのではと思うのは私だけ?


◇月の上で働く男第一号は、「ハンス」だった?
 史上に残った最初の月の上で働いた男第一号はアームストロング船長でした
 が、実はもっとずっと早くに月面で働くことになった男がいました。その名
 はハンス。後世のアームストロング船長の名前が栄光につつまれているのに、
 ずっと早くに月で働いた、いや働き続けたハンスの名前は、恥辱にまみれて
 おります。可愛そうに。

 ハンスはドイツ生まれの働き者の男だとされています。働き者ですがひどく
 偏屈であったとも伝えられています。
 ハンスは来る日も来る日も働きました。それこそ土曜も日曜も関係なく働き
 続けました。

 ある日曜日、いつものように日曜日も関係なく森に入って薪を拾い、山のよ
 うな薪を背負って家に帰ろうとしている途上でハンスは一人の男に出会いま
 した。背が高く髪も髭も長く伸ばしたその男がハンスに声をかけました。

  日曜日なのに、お前は何故働いているのだ?

 ハンスは答えました。

  日曜に働くのは俺の勝手さ。
  それが悪いというのなら罰でも何でも当てればいい。

 これを聞いた男は顔をしかめてこう言いました。

  日曜日は六日間十分に働いた身体を休め次の週に備えるための日だ。
  頭も休め身体も休め、そして他の疲れた人々を労るための日だ。
  その日ですらも働きたいというのなら、ほれあの月の上にでも行ってずっ
  と働き続けたらいい。

 男がこう言って森の奥に去って行くのと、ハンスの足が地面を離れて月へ向
 かって浮かび上がるのとは同時でした。
 そして、月の上で働く男第一号の栄誉に浴した働き者のハンスは、今日も薪
 を背負ったそのままの姿で働き続けているので、月の黒い模様は薪を背負っ
 た男の姿に見えるのでした。
 (以上、ドイツの昔話でした)

 日曜日はキリスト教では「仕事を休んでよい日」なのではなくて「仕事をし
 てはならない日(神のために捧げられた日)」だったのですね。
 仕事が忙しく日曜日も仕事という方々、もし髪と髭を長く伸ばした男と出会
 ったときには、

  私は仏教徒です

 とでも答えないと、月の上まで仕事を持っていかなければならなくなるかも
 知れませんよ。気を付けましょうね。


◇1969/07/20、日曜日
 さて、伝説上の月面で働く男第一号のハンスの可愛そうな話をしたところで
 ふと気になりました。アポロ11号が月面に着陸した1969/07/20は日曜日。
 日曜なのに、「人類にとっては偉大な跳躍だ」なんて言いながら働いていた
 アームストロング船長とオルドリン飛行士の運命や如何に?

 幸いなことに、月面には髪も髭も長い男は現れず、二人の飛行士は月の軌道
 上で一人寂しく待っていたマイケル・コリンズ飛行士と共に地球に帰ってき
 ました。良かったですね、ハンスのように永久に

  この612748800歩目yの一歩も、人類の偉大な612748800回目の跳躍かな?

 なんて言いながら月面を歩き回っていなくて済んで。アポロ11号の飛行士達
 の信じる宗教が何教であったのは、私のあずかり知らない話です。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/05/20 号

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