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■今日の「お八ツ」は? お江戸の時刻(その2)
 さて昨日は、十二時点法による「一時(いっとき)」の長さは、一日の中で
 も、季節によっても変化するという話をしたところで終わりました。
 今日は、ではどんな風に変わるかを見ましょう。

◇昼の「一時」、夜の「一時」
 昨日のこぼれ話でお話ししたとおり、この十二時点法は正子(零時)と正午
 (12時)に「九ツ」から始まります。この点は、「なるほど」とさほどおか
 しくはありませんが、もう一つお約束があります。それは、

  「明六ツ」は夜明け、「暮六ツ」は日暮れの瞬間

 というものです。この夜明けと日暮れは、太陽の中心が地平線下 7°21′40″
 となる瞬間です。お江戸(東京)の夏至の日を例にとって実際にその日の十
 二時点法を考えてみましょう。この日の夜明け(=明六ツ)と日暮れ(=暮
 六ツ)の時間を計算すると、

  夜明け = 明六ツ =  4時05分
  日暮れ = 暮六ツ = 19時55分(午後 7時55分)
   ※表示した時刻は地方真太陽時

 となります。
 ここで時刻は、「地方真太陽時」としました。これはその場所(今回の話だ
 と「江戸」)で太陽が真南に来た瞬間を正午としそこから次の正午までを均
 等に分割して24時間と考える時間です。現在私たちが使っている平均太陽時
 とはちょっとだけ違いますが、話を複雑にしないために、今日のところはそ
 の違いに目をつむってください。

 話が脱線しましたが、元に戻って夜明けから日暮れまでの時間を見てみまし
 ょう。するとその間は15時間50分あることがわかります。明六ツから暮六ツ
 までの間には、「六・五・四・九・八・七」の六時点がありますから、15時
 間50分を均等に分けると、夏至の日の昼の一時は、

  昼の一時 ≒ 2時間38分

 となります。
 では昼の反対の夜はといえば一日は24時間ですから残すところ 8時間10分し
 かありません。これをまた六時点に分割しますから、夏至の日の夜の一時は、

  夜の一時 ≒ 1時間22分

 ということになります。同じ一時でありながら、夏至の日の昼の一時は夜の
 一時の 1.9倍以上。ほとんど 2倍に近い長さとなります。


◇季節による「一時」の変化
 さて、夏至の一日の内の昼と夜の「一時」の違いを見たところで、次は季節
 による「一時」の変化を見てみましょう。
 季節変化の元になる夜明けと日暮れの時刻を、冬至・春(秋)分・夏至で見
 比べてみると

  冬至の日 夜明け  6:32 日暮れ 17:27 (一時は、昼 1:49 夜 2:11)
  春分の日 夜明け  5:25 日暮れ 18:35 (一時は、昼 2:12 夜 1:48)
  夏至の日 夜明け  4:05 日暮れ 19:55 (一時は、昼 2:38 夜 1:22)

 のようになります。夏至の日と比べると冬至の日の昼の「一時」は 7割弱の
 長さしか無いことになります。
 江戸時代には、

  夏は腹の減りが早い

 なんて言う言葉があったそうですが、それもそのはず。同じ昼の一時といっ
 たって夏の一時はこんなに長いのですから。

 さて、最初の目論見ではこの十二時点法という不定時法の話は二回連載のつ
 もりだったのですが、ここまで書いただけでも結構長くなってしまったので、
 今日のところはこれまでとして、「その3」は日を改めてとさせて頂きます。
 こんなに長引くはずじゃ無かったのだが・・・。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/06/05 号

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