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■オリンピアード競技大会
 昨日開幕した、北京オリンピックですが、夏のオリンピックの正式な名称は

  オリンピアード競技大会

 といいます。

◇オリンピアードとは
 現在行われているオリンピックは「近代オリンピック」と呼ばれます。これ
 は1896年に古代ギリシャで行われていたという古代オリンピックにヒントを
 得て始まったものです。

 古代オリンピックは、古代ギリシャの都市国家の一つであったオリュンピア
 で行われたゼウス神に捧げられた競技会で、 4年に一度行われ「オリュンピ
 ア祭典競技」と呼ばれました。

 その始まりは競技は短距離走のみで、 1日で終わるようなものだったそうで
 すが、次第に参加者、参加国が増加し、競技数、日数も増えて 5日間の競技
 となりました。

 神に捧げられたこの競技会は神聖視され、この大会を妨害するような行為は
 神に背く行為と見なされ、そのためこの大会の行われる期間は前後合わせて
  3ヶ月の間、ギリシャ全土で戦争が禁止されるようになりました。この禁を
 破った国は罰として、この神聖な競技会への出場を拒否されます(実際にス
 パルタなどがこの禁を破って、出場拒否された記録があるそうです)。

 さて、この競技会がギリシャ全土に影響を持つようになると、この競技会が
 行われる 4年に一度という周期が、年数を数える一つの周期となり、オリュ
 ンピア祭典競技が行われる年を 1年目としてそれに続く 3年を合わせた 4年
 を「オリンピアード」と呼ぶようになりました。つまり

   今年は第○○オリンピアードの 3年目だ

 といった使い方で年数を表すようになったのです。
 いわれてみればですが、私たちも

   あれはメキシコオリンピックのあった次の年だった

 なんていって、昔の記憶を辿ることがありますから 4年周期というのは比較
 的近い年代を考えるには手頃な周期なのかも知れません。


◇現代の「オリンピアード競技大会」
 夏のオリンピックの正式名称は「オリンピアード競技大会」。この名前は実
 は伊達ではなくて暦の 4年周期を数えるオリンピアードと関係しています。

 近代オリンピックは1896年に行われたアテネオリンピックで、これが第 1回。
 そして今年、2008年の北京オリンピックで29回目です。

  1896 + (29 - 1) × 4 = 2008 (年)

 ですから当たり前ですね。
 でもちょっと待って下さい。北京オリンピックって本当に29回目のオリンピ
 ック大会なのでしょうか? 数えてみるとそうではないのです。
 実は、次のようなイレギュラーな大会があるのです。

  1906年 アテネオリンピック (特別大会)
  1916年 ベルリンオリンピック (中止)
  1940年 東京オリンピック (中止)
  1944年 ローマオリンピック(中止)

 1906年のアテネ大会は 4年に一度の周期からも外れていますし、 1度だけし
 か行われなかった大会で正式大会としては数えないことになっていますので
 これは省くとすると、残りは1916,1940,1944年と開かれなかった大会が 3回
 あります。
 すると夏季オリンピックの回数としては北京は26回目の大会となります。

 しかし現在、夏季オリンピックの回数は1896年から始まる 4年のオリンピア
 ード周期数をもってオリンピック大会の回数表示とするとしていますから、
 間に 3回の空白があっても

  北京は29回目のオリンピアード大会

 となります。
 「第○○回オリンピアード大会」という回数表示はオリンピックの開催回数
 ではなくオリンピアード周期の回数を表しているのです。

 ちなみに、夏のオリンピックは「オリンピアード大会」なのに対して冬のオ
 リンピックは「冬季オリンピック」なのだそうです。
 この違いのため、夏の大会のメダルにはメダルには「Olympiad」の文字が、
 冬のメダルには「Olympic」の文字が刻まれているそうです。
 (金・銀・銅メダルをお持ちの方、お確かめ下さい)

◇平和の祭典
 「オリンピックは平和の祭典」と呼ばれますが、これは古代オリンピックの
 期間には戦争を行わなかったという故事に由来したものだと思われます。
 古代オリンピックはゼウス神に捧げられた神聖な競技大会。
 その神聖な競技大会に参加するもの(競技者も見物人も)の旅の安全を保証
 するため、国々は戦争を控えたのだそうです。

 いろいろときな臭い状態で始まった北京オリンピックですが、せめてこの期
 間だけは「平和の祭典」の意味を思い出して、安全に終了してもらいたいも
 のです。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/08/09 号

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