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■お月見に最適な角度?
 明日は旧暦の9/13。
 明日の夜の月は九月十三夜の月、後の月です。

 九月十三夜の月は八月十五日(旧暦)の中秋の月と並ぶ名月です。
 中秋の名月を眺めて、この「後の月」を見ないのは片月見(かたつきみ)と
 いってよくないそうです(どんな風によくないかは尋ねないでください)。
 さて、月見というと

  1.中秋の名月 (旧暦八月十五日)
  2.十三夜の月 (旧暦九月十三日)
  3.十日夜の月 (旧暦十月十日)

 の三つが有名です。もちろん上記の1,2,3 の番号は有名な順番です。
 中秋の名月は別格、十三夜の月見もまあまあ有名。それに比べると十日夜の
 月はあまり知られていませんがこの十月十日は「十日夜(とうかんや)」と
 呼ばれ、大昔は重陽の節供に替わって五節供の一つにも数え上げられた節供
 の日。今でも各地に様々な「とうかんや」の行事が残る日です。
 さてこの十日夜の呼び名ですが、有名な名月二つの行事が、

  十五夜(じゅうごや)
  十三夜(じゅうさんや)

 と呼ばれる如くこの日も「十日」ではなくて「十日夜」と呼ばれる辺り、い
 かにもお月見をしそうな日ではないですか。そしてそのとおり、この日の月
 も月見の月と考えられていました。

◇三つの月見に共通すること
 本日はこの三つの月見行事に共通することを一つ思いつきましたのでその話
 しです。
 さて、この三つの行事に共通するのは・・・といった風習や民俗学的な話し
 を期待された方にはまずお詫びです。今回の話しはそうした話しではありま
 せん。月の見える角度についてです。

 三つの月見の日付を並べてみると、旧暦の八月十五日、九月十三日、十月十
 日と、その間隔はほぼ一月おき。日付は 2〜 3日ほどずつ前進しています。

 このほぼ一月ごとに 2〜 3日の前進とその日付を見たとき、頭に一つ浮かん
 だことがあります。それは、この三つの月見の月の位置がほとんど同じでは
 ないかということです。

 満月の位置は地球が太陽の廻りを公転しているため、一月で約30°移動しま
 す。また月は一日(一太陽日)約13°移動します。それぞれの位置の移動と
 その向きを考えると、ある時の満月とほぼ同じ位置(背景の星に対して)に
 来るのは次の月の満月の 2〜 3日前ということになります。

 十五夜、十三夜、十日夜の月は背景の星々に対してほぼ同じ位置に戻ってき
 た月だと言えるのです。星座でいえば

  みずがめ座からうお座

 辺りに月が見えます。
 三夜とも月の位置はほぼ同じだとすると月が見える角度もほぼ同じ。
 東京あたりであれば、月がその夜で一番高く見える真南に来る瞬間の角度は
 50°前後となります(この角度のことを南中高度と呼びます)。試しに今年
 の例で計算してみると

  1.中秋の名月 49° ( 9/14)
  2.十三夜の月 46° (10/11) (この月の十五夜の月 59° 10/13)
  3.十日夜の月 43° (11/ 7) (この月の十五夜の月 74° 11/12)

 となります。
 最後の括弧の中身は 2,3の月から 2日及び 5日後の十五夜の月が真南に来た
 ときの角度を参考として記したものです。冬が近づくにしたがって満月の南
 中高度は高くなってゆく様子がお解りいただけるのでは。

◇お月見の最適角度?
 お月様はその南中高度が高くなればなるほど空の高いところ、つまり空が澄
 んできれいに見えるところに見えますから、南中高度が高い程よいようにも
 思えるのですが、「月見」ということで考えると南中高度が高すぎるのは考
 えもの。

 あまり高い位置にあると思いきり首を上に向けて無理な姿勢で眺めなければ
 いけなくなります。
 それに縁側に出ても、家の軒が邪魔になってしまうかも。
 そう考えると、お月見に適する月の高度とは、ほどほど高くそして高すぎな
 い高さ。丁度50°前後が最適な角度と言えるのでは。

 こう考えるなら、中秋の名月(十五夜の月)、十三夜の月、十日夜の月はこ
 の最適な条件に近いお月様と言うことができそうです。
 お月見の月の夜が一月毎に、十五夜、十三夜、十日夜とずれて行く裏には、
 この「月見に最適な角度」が関係しているかも。
 三つの月見の月の南中高度から導き出したこの、

  お月見に最適な角度、50°説

 はさて本当でしょうか?
 明日晴れたなら、南中高度がほぼ50°の十三夜の月を眺めながら、このお月
 見最適角度についての珍説を思い出して頂ければ光栄です。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/10/10 号

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