こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■正月の準備開始の日
 本日、12月13日は正月事始めの日とされ、煤払いを行ったり正月様とよばれ
 る松を迎えに行ったりする日でした。
 きっと今日の夕方のニュースには、何処かのお寺の煤払いの様子が映像で流
 れることでしょう。

◇正月の準備は掃除から
 正月事始めの日に煤払いをするのは、新しい年神を迎えるためにはまず旧年
 の汚れ、穢れを払うことからと言うことでしょう。
 お客様をお迎えするためにはまず掃除から。家庭の常識ですかね。

 今で言えばただの大掃除になってしまいますが、昔の家では照明や暖房、煮
 炊き炊事に火を使い、煤が家に沢山付いたためでしょうか、大掃除とは言わ
 ず煤払いとか煤掃きとかの呼び名が定着しています。
 煤払いに使うために使う竹竿の先に藁をくくりつけた掃除道具には、「煤梵
 天(すすぼんてん)」などという呼び名までありました。

◇なぜ12月13日に?
 江戸時代の始めまで 800年以上も使い続けられたために様々な行事にその痕
 跡を残すことになった宣明暦という暦法があります。
 12月13日が正月事始めの日となったのにもこの宣明暦の影響があります。

 昔から使われてきた伝統的な暦注の一つに二十八宿があります。
 現在は中国式に二十八の星宿が順番に循環して行く二十八宿が一般的ですが
 宣明暦では、二十八宿より一つ少ない二十七の宿で占う二十七宿が採用され
 ていました。

 二十七宿は、二十八宿がインドに渡った際にインド占星術の影響を受けて変
 形したもので、それが本家の中国に逆輸入され、さらには日本にまで伝わっ
 たものです。
 ちなみに二十八宿にあって、二十七宿にない星宿は「牛宿」です。

 さて、二十八宿は無限に二十八の星宿が循環する暦注の計算方式では「不断」
 と呼ばれる方式であるのに対して暦月毎に一日の星宿が決まっていて、あと
 は二十七つの星宿を順に数えるという方式。暦の計算方式ではこうした方式
 の暦注を「月切(つきぎり)」と呼びます。

 月切とは「暦月を一区切りとする」という意味です。なお、ここでいう「暦
 月」は旧暦の月のことになります。現在よく使われる暦注の中で、月切の計
 算方式をとる代表例と言えば、おなじみの六曜がそれです。あの先負、仏滅、
 大安・・・と言った循環も、旧暦月毎に区切りがあって不連続になります。

 さて、月切の暦注の場合ある特徴があります。それは同じ月日なら毎年その
 日の月切の暦注は同じになると言うのがそれです。
 二十七宿(二十八宿も)で最も目出度い日は何時かというと、「鬼宿」の日
 がそれにあたります。この日は何をするにも大吉日だとか(「婚礼はのぞく」
 とされる場合もありますが)。

 旧暦の12月の二十七宿でこの鬼宿の日にあたるのは何時かと言えば、そう、
 既に皆さんが思い描いたとおり、13日。
 12月13日は宣明暦の使われた時代にはズーッと、大吉日である鬼宿日だった
 のです。正月を迎えるための準備をこの大吉日である12月13日に始めること
 で、新しい年をが目出度い年になるようにと言う願いがあったのでしょう。

◇江戸城の煤払いはこの日
 江戸時代以前は「正月事始めの日は十二月の中頃の吉日」を選んだもので、
 必ずしも12月13日と決まってはいなかったそうですが、江戸時代に入り、江
 戸城の煤払いの日がこの12月の鬼宿日である13日に定まってから、この日が
 煤払いの日、正月事始めの日として定着しました。

 最近は、時代劇などでも度々取り上げられる江戸城大奥でもこの日は煤払い
 が行われました。変わっているのは大奥ではこの煤払いの後でなぜか老女を
 胴上げするしきたりがあったそうです。江戸の川柳に、

   御つぼねは そっとそっとの 十三日

 というのがありますが、これは普段は口うるさい老女もこの日ばかりは胴上
 げをあまり乱暴にされないようにと、掃除の仕方を注意する口調もつい優し
 くなるという、人は立場変われば態度も変わるということを揶揄した句だそ
 うです。

 さて今日は、土曜日。
 煤払いにはちょうどよいお休みの日と言う方も多いことと思います。
 伝統に則って、ここは一つ大掃除でもしますか?
 それとも、気づかなかったことにして「そっとそっと」貴重な休日を過ごし
 てしまいましょうか。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2008/12/13 号

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