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■星昼間・星真昼と星の時間
 星昼間(ほしひるま)、星真昼(ほしまひる)という言葉をご存じですか?
 真昼に見える星・・・なんていう意味ではありません。

 太陽が真南に見える時間を真昼、あるいは昼間(狭義の)と言う場合が有り
 ますが、星を太陽と見立てたとすれば星が真南に来る時間帯は星にとっての
 真昼であり、星にとっての昼間であるというのがこの言葉の意味。理科の時
 間に習った言葉で言い直せば、星が南中する時間帯ということになります。

◇ことわざの中の星昼間・星真昼
 私がこの言葉を知ったのは、お天気博士として知られる倉嶋厚さんの本、

  季節の 366日話題辞典

 からです。その本の中でこの言葉は

  星昼間の南風(プスピローマ・ヌ・ハイカジ)
  三つ星真昼、粉八合

 ということわざとして紹介されています。
 二つの言葉に登場する「星」はオリオン座のベルトにあたる三つ星のことで
 す。オリオン座は一等星の多い、はっきりした星座。その星座の中でも、三
 つきれいに並んだ三つ星は印象に残りやすいものです。

 前者の「星昼間の南風」は石垣島で使われた言葉だそうで(今でも使います
 か?)、意味は夕暮れ時にオリオンの三つ星が南中する(星昼間)時期には
 春の南風が吹くという意味だそうです。

 オリオンの三つ星が夕暮れ時に星昼間となる時期とは何時かというとそれは
 今頃。大体二月の半ば頃です。
 二月半ば頃に吹く春の南風といえば・・・春一番を思い起こしますが、果た
 してこの私の常識は石垣島辺りでも通用するのかとインターネットで、

  春一番 石垣島

 をキーワードに検索してみると、今年私の住む近畿地方で春一番が吹いた日
 2/7 には石垣島でも強い南風が吹いていたらしいことが判りました。
 またこの時期には南風が吹くことが多いと言う記事も幾つか見つかりました
 から、夕方に三つ星が星昼間となる二月中頃に春一番がやって来るという意
 味ではと言う私の解釈も当たらずといえども遠からずなのではないかと思い
 ます。本当かどうかは、石垣島の皆さんにうかがわないと判りませんが。

◇星を見る時間帯
 「星昼間の南風」ではオリオン座の三つ星が星昼間を迎えるのは夕方で、そ
 の時期は二月中頃だと書きましたが、ではもう一つ取り上げたことわざ「三
 つ星真昼、粉八合」はいつ頃の言葉かというと、初秋の頃の言葉。この場合、
 三つ星が星真昼となる時間帯は明け方。
 このことわざは明け方に三つ星が星真昼になる時期にソバをまけば収穫がよ
 いという意味で使われます。

 どちらも着目されたのは目立つオリオン座の三つ星ですが、面白いのはこの
 星を見ている時間帯が明け方や夕方であるということです。
 日の出と共に仕事を始め、日没と共に仕事を終えるという昔の生活では、そ
 の始めと終わりの時刻に見える星で季節を捉えるということが有ったようで
 す。

 同じように夜明け前に仕事を始める漁業関係者の間ではオリオン座は夏の星
 座だと考えられていたそうですが、これは夏の明け方にオリオン座が昇る様
 子を目にしていたためだと思われます。

 現在の私たちは「星は夜見るもの」と考えがちですが、時代や生活習慣が違
 えば星を見る時間も変わるのですね。
 今日の暦のこぼれ話は星昼間・星真昼という言葉とその言葉の使われ方から
 連想した、あれやこれやでした。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/02/19 号

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