こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■菱餅の話
 本日は 3/3。この日刊☆こよみのページが迎えた三度目の雛祭りの日です。
 三度目とも成ると、書くこともなくなりますが、毎年同じ話でもつまらない
 ので、ちょっと目先を変えるつもりで、本日は雛祭りにはつきものの菱餅の
 話をすることにしました。

◇菱餅の色は三色?
 現在、雛祭りにつきものの菱餅といえば、大体三色と相場が決まっているよ
 うです。地方によっては、四色とか五色もあるそうですが、ここではよく見
 かける三色の菱餅から話を進めます。

 お雛様の飾り付けとして欠かせない存在である三色の菱餅、皆さんもきっと
 今年も何処かでご覧になっていることでしょう。この三色って何色だったか
 思い出せますか?

   紅・白・緑

 というのが大体定番の三色。
 おそらく「紅」は桃の花を、「白」は雪を、「緑」は草を表しているのでし
 ょう。冬が終わって草が育ち、花が咲く季節のお供え物としてはぴったりの
 ように思えます。

 雛祭りの菱餅は三色が、昔からの伝統かななんて思っていたのですが、調べ
 てみると意外や意外、菱餅が三色になったのは明治に入った頃だとかで、そ
 れほど長い歴史があるわけでは無いようです。

◇ほんとは二色
 では、三色の菱餅になる以前は何色かと調べてみると、これは白と緑の二色
 だったようです。
 白は普通の白い餅。緑は草餅の色です。
 この二色の餅を、

   草餅・白い餅・草餅

 と三枚合わせに重ねたものが雛祭りの菱餅でした。
 草餅は別名よもぎ餅とも呼ばれるように、現在この緑の色を出すものはよも
 ぎです。よもぎは邪を祓う植物とされています(端午の節供などでも登場し
 ます)から、よもぎ餅を供えることには邪気を祓うという意味がありそうで
 す。

◇草餅の草は、ハハコグサ
 この邪を祓う植物を入れて草餅を作るということ自体は不思議ではないので
 すが、中に入れる邪を祓う植物は昔から蓬だったわけではなく。当初は母子
 草(ハハコグサ)であったといわれます。

 母子草とは春の七草の中にある「御形(ゴギョウ)」のことです。
 本日の「今日の記念日」の上巳の節供(雛祭りのこと)の解説で、

  上巳の日に川で身を清め不浄を祓う習慣があり、これが平安時代に日本に
  取り入れられた。後に紙で小さな人の形(形代)を作ってそれに穢れを移し
  川や海に流して不浄を祓うようになった

 とあるように、雛祭りの日には不浄を洗い流すため海や河に出掛けたのです
 が、そうして出掛けた場所で草餅に使う母子草を摘んで帰ったのでしょう。
 後世、母子草を入れて撞いた草餅は「母」と「子」を撞くかのようで縁起が
 よくないと考えられるようになり、何時しか母子草に代わって蓬が草餅の中
 に入るように成ったようです。

◇菱餅の形
 色の話の後は形の話。なぜ雛祭りに備えられる餅が菱形か。丸だってよさそ
 うですが、雛祭りに飾られる餅は「菱餅」です。これにはこれの歴とした理
 由があります。
 この菱餅の四角い形は、大地をかたどった形なのです。

 中国古代の伝説では、天は丸く大地は四角いものと考えられていました。
 そして天は男子の徳、地は女性の徳を持ったもの(天皇陛下の誕生日を天長
 節、皇后様の誕生日を地久節と呼ぶのもこの考えから)と考えましたので、
 女児の節供である雛祭りの餅は、女性の徳をもった大地をかたどって菱形に
 作るのだそうです。
 ちなみに端午の節供に作る粽は、天をかたどって丸く作る事になります。

 お供えの餅の色や形の一つ一つにも、色んな意味があるものですね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/03/03 号

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