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■3/25は年の始めの日?
 現在の日本には大きく二つの「一年」があります。
 一つは1/1に始まり12/31に終わる暦の一年。そしてもう一つは、 4/1に始ま
 り翌年の3/31に終わるお役所の一年、経済の一年といえる会計年度です。

 このように暦の一年(省略して「暦年」と書きます)と会計年度(省略して
 「年度」と書きます)が日本において分離したのは明治に入ってから。
 年度の始まりも当初は度々変更されましたが、明治19年(1886年)以降は現
 在の 4/1〜翌年3/31という形になりました。

 日本の年度が現在のような形になった理由の一つには、この会計年度が採用
 された頃の世界の最強国の一つであったイギリスの会計年度に合わせるとい
 うものがありました。イギリスは 4/1〜3/31という会計年度の先輩でした。
 本日は、このイギリスの話です。

◇イギリスの「年の始め」は3/25
 中国や日本の伝統的な暦年(現在のいわゆる旧暦の一年)の始まりは立春の
 時期とされていました。
 これに対してヨーロッパでは伝統的にもう少し暖かくなった頃、春分の頃を
 年の始めとする考え方がありました。

 ヨーロッパではグレゴリオ暦、あるいはその前身となったユリウス暦が広く
 使われており、この暦での年の始まりはユリウス暦がローマ帝国で採用され
 た紀元前 1世紀から、 1/1とされました。

 しかし、それ以前は春分を年の始まりと考えていて、この考え方はユリウス
 暦が採用された以降も根強く生き残り、ごく最近になるまで春分の時期を年
 の始まりと考える国がありました。
 そうした国の一つがイギリスで、年の始まりの日は、春分の頃である3/25と
 していました。

◇イギリスの改暦
 ユリウス暦の欠点を補うためにローマ教皇が改暦を断行し、グレゴリオ暦に
 移行したのは1582年のことでしたが、イギリスは宗教的な問題からグレゴリ
 オ暦を採用するまで時間がかかり、改暦を行ったのは1752年でした。

 イギリスはこのグレゴリオ暦への改暦に際して年の始めの日もそれまでの年
 初だった3/25から 1/1へと変更しました。
 これによってそれ以後のイギリスの年初は 1/1に遷りました。

   1/1 が年の始めだというのはあたりまえのこと

 と思いがちですが、こうしてみると年の始めの日付とは慣習の要素が強く、
 必ずしもカレンダーと連動しているものではないことがよく解ります。

◇イギリス会計年度の始まり
 さて、イギリスの暦の上の年の始まりは 1/1に移動しましたが、一年の始ま
 り、あるいは終わりというのは単にカレンダーの上での話ばかりではありま
 せん。例えば予算と決算の時期なども一年の始まりと終わりと連動します。

 カレンダーの上に書かれた年の始めが3/25から 1/1に移ったからと言って、
 はいそうですかと現実の生活のサイクルを変更することは出来ません。
 国の予算だって年の始めから執行して、年の終わりに決算をしていたわけで
 すから、

  決算時期は急には変えられない

 わけです。その辺の事情はイギリスでも同じ。
 そこで考え出されたのが、暦の一年と会計処理のサイクルとしての一年の起
 点を別の日にするというもの。こうして会計処理のサイクルとしての「会計
 年度」が採用されることになりました。

 さて、ここで一つ問題が。
 暦の一年の起点は 1/1で、会計年度の起点はそれまでの年初であった3/25と
 したとすると、日数計算などの上でいろいろと不都合が起こることが予想さ
 れます。改暦による影響を最小に抑えて、なおかつそれ以後の社会生活に不
 便をきたさないようにするには・・・

 その答えとして考えられたのが、3/25に近い暦月の区切り 4/1を会計年度の
 起点とすると言うものでした。
 こうしてイギリスでは暦の一年は 1/1に始まり、経済活動の一年は 4/1に始
 まるという二つの起点を異にした二つの一年が生まれました。
 それがやがて海を渡り、明治維新後の日本の制度にまで影響をあたえて、現
 在に至っているのでした。

 その昔3/25が年の始めだったことにまつわる暦のこぼれ話でした。


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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/03/25 号

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