こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■潮干狩り
 寒い冬の間は家の中に引きこもりがちだった私たちも、春となり暖かい陽光
 がさすようになると、その陽光に誘われるように戸外に遊びに出たくなるも
 のです。古くからの戸外での春の遊びと言えば野遊び、磯遊びと呼ばれるも
 のがありますが、本日はその中の「磯遊び」についての話です。

◇春の磯遊び
 春の磯遊びと言えば、ことに有名なのが潮干狩り。
 現在の四月上旬は、旧暦で行事を行う地域では雛祭りの頃です(2009年の場
 合、旧暦三月三日は新暦3/29でした)。

 雛祭りには、蛤(はまぐり)の殻で貝合わせの遊びを行ったり、蛤の吸い物
 を作るなどの風習がありますが、これは雛祭り(節供の名前では「上巳の節
 供」)に磯遊びをする風習の一部が残ったものだと考えられます。蛤は磯遊
 びの「獲物」だったわけです。

 なぜ雛祭りに磯遊びかといえば、既に書いたとおり気候的に野遊び、磯遊び
 に適した時期であると共に、「磯遊び」に適したもう一つの理由が有ったか
 らです。その理由とは、「大潮の時期」だと言うことです。

◇潮の満ち干と潮汐力
 海には潮の満ち干が有ります。この潮の満ち干を引き起こす原動力になるの
 は月と太陽の作り出す潮汐力(ちょうせきりょく)です。

 月と太陽はそれぞれがそれぞれにその潮汐力によって地球の海の満ち干に影
 響を与えます(実は海だけでなく、大地もこの潮汐力を受けて変形していま
 す・・・と、これは余談でした)。潮汐力としてみると一番大きな力を持っ
 ているのが月で、二番目が太陽。その力の比率は大体

  月の潮汐力 : 太陽の潮汐力 = 2 : 1

 くらいです。
 潮汐力の特徴は、地球の中心から見て潮汐力の原因となっている天体に向か
 う地点と、その反対側の地点の二点で最大となると言うことです。

 よく、月に面した地点の海面が月の引力によって引っ張り上げられるから潮
 が満ちるのだと考えている方がいらっしゃるのですが、これは間違いで、地
 球の裏側でも同様に潮が満ちているのです。潮汐力は引力と遠心力の差によ
 って生み出されるものなのでこのような一見不思議な現象が起こります。

◇大潮と小潮
 さて、海の満ち干を作り出す潮汐力の強さは月が一番で太陽が二番目、そし
 てその比率はおよそ 2:1だと書きましたが、実際の潮汐力はこの二つが組み
 合わさった形で現れます。 2:1の力は

  ア 2 + 1 = 3 ・・・ 大潮 ・・・ 新月、満月の頃
  イ 2 - 1 = 1 ・・・ 小潮 ・・・ 上弦の半月、下弦の半月の頃

 と言った具合に、組み合わせによってその大きさが変化します。
 アのように両方の力が合わさって大きくなる場合を潮が大きく変化すること
 から「大潮」、イのように打ち消し有ってしまう場合は潮の変化が小さいの
 で「小潮」と呼びます。
 大潮の時期は大体新月、満月の頃、小潮は上弦、下弦の半月の頃(実際は、
 これより1〜3日遅れます)となります。

 潮干狩りなどの磯遊びは潮が大きくひく時の方が都合がよいですから、潮干
 狩りに出かけるなら「大潮の頃」がねらい目、つまり新月か満月のちょっと
 後くらいがねらい目だといえます。
 
◇雛祭りは大潮
 さて「大潮は新月、満月の頃(本当はちょっと後)」と書きました。これか
 ら考えると旧暦の雛祭りはちょうど大潮の頃に当たることが判ります。
 どういうことかいえば、雛祭りの日付は三月三日。旧暦の雛祭りということ
 でいえば、旧暦の一日は新月の日ですから、三日は

  新月の日のちょっと後 ・・・ 大潮

 ということになります。
 気候もよくなったし、大潮の頃だし、潮干狩りにはちょうどよい日だったん
 ですね。

◇ちょっと遅くなりましたが
 さて、今年の旧暦三月三日は新暦では3/29でした。
 この記事を書いているのは4/11。遅すぎる・・・。

 でも大丈夫です。半月ほど遅れましたが、「半月遅れ」ということは、新月
 が満月に変わるだけの期間。3/29が新月直後の大潮だったということは、こ
 の日から半月過ぎれば、満月直後の大潮の時期となります。

 実際に今日の潮の様子を調べてみると、太平洋側の多くの地域で大体お昼の
 12時頃に大きく潮がひいて干潮となります。
 既に述べたとおり、今日、明日あたりは大潮の時期に当たりますから、砂浜
 ならお昼には大分沖まで潮がひくはず。アサリ、ハマグリが掘り放題?

 雛祭りの潮干狩りの情報としては遅くなりましたが、「潮干狩り情報」とし
 ては、ぴったりのタイミングじゃありませんか。
 外を見ると、雲一つないよい天気。海も近いし、私も潮干狩りにでも出かけ
 ましょうかね?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/04/11 号

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